きらびやかな魔法少女ライフは、ここにはありません。あるのは花異獣というモンスターとの命がけの戦い、そしてそんな花異獣を倒すために軍事的指導が行われている育成機関。特に魔法少女の間の競争が推奨され、何かあればすぐに決闘に発展してしまいます。そして敗者には情けのかけらもない、退学か死という最悪の末路が待っています。そんな厳しい環境に、普通の女の子だった主人公が転入して、理不尽な状況に反発して波紋を広げる物語です。
魔法少女モノでありながら、まるで現代社会の縮図のような過剰な競争が描かれています。やや前時代的な教育方針だが、今でも一部の界隈でそれが行われているのも事実。社会風刺がテーマの一つとも言えるくらいの、とてもユニークで魅力あふれる作品です。
諸星愛(もろぼし あい)、中学2年生。
ドジで元気で、お花屋さんの娘で、ちょっとおバカ。
だけど部活はクリケット部のエースで、なんだかんだで毎日を楽しく過ごしていた――はずだった。
それがある日、友達が「サボテンの怪物」になり、
クラスメイトが「魔法少女」になり、
ついには自分まで魔法少女に変身して敵を倒してしまう!?
訳が分からないまま、異世界の「魔法少女学園」へと転入することになった愛を待ち受けていたのは……入学試験でのガチの魔法バトル!?
先生は魔女。
クラスは命がけ。
先輩はツンデレ。
魔法少女は、今日も命がけ。
果たして彼女は、この「ちょっとヤバい」魔法の世界で生き残れるのか?
魔法と笑いと友情が炸裂する、異世界転校生ラブコメ・バトルファンタジー、開幕!
とある事件を通じて、一般人から魔法少女になった少女の活躍が描かれます。
内容的には日曜朝8時系ではなく、夕方や深夜枠の分類にはなるでしょうか。
花異獣(誤字では無いのです)への戸惑い、魔法少女同士での戦いの葛藤や、育成機関における厳しい競い合い、命を奪うことの是非などを、素通りすることなく物語の中で繰り広げられます。
とはいえ主人公は、親しみやすいまともな感性の女の子。
ギャグめいたやり取りを繰り広げたり、魔法少女学校の授業に悪戦苦闘したり、感情移入しやすいです。
彼女自身が純粋すぎる故、厳しい現実との対比がまた切ないです。
なりたての魔法少女ですが、才能豊かでバトルの爽快感も高めでした。
個人的には、日常シーンの中で垣間見せる設定の奥深さに惹きつけられました。
魔法体系や学校のシステムなど、しっかり作り込まれた世界観を感じさせられます。
そのような作風なので、シリアス好きも日常好きも世界観重視の方も、満遍なく楽しめる作品に仕上がっている、非常にクオリティの高い魔法少女ノベルとなっています。
主人公の愛が持つ「魔法少女への憧れ」と現実の魔法少女学園のギャップが見事に描かれています。愛が思い描く「みんなを助けて悪を倒す正義の味方」という理想と、実際の学園で行われる殺伐とした決闘システムとの対比が衝撃でした。
最初は無邪気で理想主義的だった愛が、現実の厳しさに直面しながらも最終的に「魔法少女になる」と決意する成長過程が丁寧に描かれています。彼女の悩みや葛藤が非常にリアルです。
物語はまだ序盤までしか読んでおりませんが、愛の成長、舞との関係性の変化、魔法少女学園の謎、そして花異獣問題の根本的解決など、多くの要素が丁寧に配置されています。特に愛がどのように自分なりの魔法少女道を見つけていくのか、非常に楽しみです!