第49話 放火事件?

 秋も真っ盛りな10月だった。


 その日の夕方は珍しく?寮の自分たちの部屋でおとなしくしていた…

 わけではなかったので問題が起きてしまった。


 隣の部屋の信夫が私たちの部屋に遊びに来ていた。

 信夫も1学年下だった。

 その信夫が何処からともなくエロ本を持ってきていたので尾崎君と3人で見ていた。


 真面目な田中君は中間テストに向けて机に向かって勉強していた。


 エロ本を見終えた私たちは処分に困って、鉄の製のゴミ箱を利用して、その中で少しずつ燃やしては手荒い場で水に流していた。

 いわゆる証拠隠滅だ。


「やめとけや!おまえら。」

 と、田中君が一喝した。

 意外に怒ると怖い田中君を知っている私たちは

「これで最後やから排水口捨ててくるわ。」

 と、言っていた時だった。


 私が脱走した時などに話し合った学園長の犬、河野先生が入ってきた。


 慌てて、まだ煙りのモクモクしているゴミ箱の上に蓋をするようにN夫が座ってごまかした。

 私と、尾崎君は突っ立ったまま、河野先生を迎えいれた。


「雨夜!今、叔父さんから電話があってな。来月くらいに外泊を考えてるそうや。一応、それを伝えに来たんやけど…ん?なんや…なんか焦げ臭いなぁ…。」

 と、河野先生は言った。



 外泊は、学園に住む私たちにとっては、縛られた施設内の生活から解放される唯一の楽しみだった。


 ただ、状況が状況だけにドキドキしっぱなしだった。


 その時!!


「信夫!立ってみろ!」

 河野先生はゴミ箱の上に座っている信夫に言った。


 バレても仕方ない状態だった。

 信夫の尻と、ゴミ箱の隙間からはモクモクと煙りが隙間をぬって出てきていたからだ。


 信夫は従うしかなかった。

 信夫が尻をあげると…

 もわぁ~っと煙りが出てきた。


 ゴミ箱の中を見た河野先生は怒鳴った。

「おまえら!なんか燃やしてたな!ポケットの持ってるもん全部出せぇ~」


 尾崎君はポケットの中のライターを出さずに隠していたが、河野先生が身体検査(私たちはポッケンと言っていた)をしたので中のライターが見つかってしまった。

「なんや!コレわ!」

 と河野先生に聞かれて尾崎君は

「え…あぁ…ライターです。」

 と、答えた。


「アホかぁ!」

 河野先生の怒りがピークに達したのは言うまでもなぃ。


「この部屋におるやつ、みんな事務所来い!!」

 と河野先生は何度もデカい声で私たちに言った。

 そして、部屋にいた4人全員事務所へと向かった。

 田中君は

「俺は勉強しとっただけやで!なんで行かなアカンねんな。」

 と、河野先生に言った。


「注意せんかった田中も同罪や。」と河野先生は田中君に言った。

「俺は注意したけど、こいつらが勝手にやってたんやんけ。」

 と、田中君は更に言った。

 だが、河野先生は問答無用と言うような顔をしていただけだった。


 いちばん可哀相だったのは田中君だった。


 結局、その日は正座5時間。

 次の日は学校を休まされて、ずーっと正座。計10時間くらいの正座の後、反省文を書かされた。


 放火の、いや、火遊びのながーい長い償いをさせられた。


 その数日後、消防士さんが来て学園に住む人たちに消化器の使い方や、火事の時の避難の仕方などの説明や実践などの訓練を行った。

 避難訓練かなんかの一種だっのかな?覚えてないけど。

 で、ドラム缶にワザと火をつけ、それを消化器で消す訓練を私たち4人が選ばれ、やらされた


 そんな出来事があった中2の秋でした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る