第17話 出血多量
新しい学校に慣れてきた時だった。
同じクラスの榎本紀夫と喧嘩してしまった。
榎本紀夫。通称ノリオ
クラスでは、あまり好かれてはいなかった子だ。
喧嘩は些細なことから始まった。
ノリオが何か余計なことをしていたので、私はノリオに言った。
「おまえアホかぁ~?」
「アホちゃうゎ!」
とノリオ
「んじゃあ、1+1は?」
と私
「3じゃあ」
とノリオが真顔で答えた…。
「やっぱりアホやんけぇ~。そんなんも解らんのかぁ~」
と私が言った時、ノリオはキレた!
ノリオが私にタックルしてきたので私は蹴りを喰らわせた。
尻餅をついたノリオは、近くにあった教室の椅子を持って殴りかかってきた。
咄嗟のことで避けきれなかった私は、ノリオのその攻撃をまともに頭に受けてしまった。
そんなに痛みを感じなかったのでタンコブくらいかなぁ?と思って頭に手をやったら…何だか生温かいぞぉ?
頭を抑えていた手を伝って…ポタッ……ポタッ。
かなりの量の血が出てきた。
すると、喧嘩を見ていた誰かが先生を呼んできた。
駆けつけた先生もびっくりして、すぐにその先生が、今度は保健室の先生を呼びに行った。
保健室の先生が来るとすぐに馴れた手つきで、タオルで止血を始めた。
ノリオは血にびっくりして泣き出し、私は、出血多量で死ぬのかなぁ?って怖くなり泣いた。
結局、病院に行き、数針縫ってもらった。
夜、ノリオとノリオの母ちゃんが家に謝りにきた。
チョコがいっぱい入ったお菓子の箱を私にくれた
怪我したらお菓子貰えるのか?
と子どもの私は思った。
ノリオの母ちゃんは
「本当にすいませんでした。うちの子が…」
と仕切りに謝った。
春徳伯父さんも
「まぁ、まぁ。子どもの喧嘩ですから。それに大した怪我じゃありませんから。小学生なんてみんな喧嘩して元気がいいもんですよ。男なんて喧嘩してなんぼですからね」
と言っていた。
『ノリオよ。昔で良かったなぁ。現代なら親は大変だぞぉ(笑)』
私の心の声です
ノリオ親子が帰った後、春徳伯父さんはチョコを見て
「うわぁ~。チョコがいっぱいやなぁ。鼻血出せって言うんかい。」
と笑っていた。
何故チョコ食べたら鼻血出るんかなぁ?と不思議に思った。
ノリオの家は裕福ではなかったから、高そうなお菓子を買ってきてくれたことに、少し「悪いことしたな」と私は思った。
それにしてもノリオが怪我させたのに母ちゃんが必死に謝るなんて…なんか大人って大変だなぁ~と思った。
色々と思った7歳の秋である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます