第16話 私は転校生

 私は、親父の兄貴である春徳伯父さんに引き取られ、伯母さんにあたる昭代伯母さんと、従兄弟にあたる政徳兄ちゃんと、弘美姉ちゃんと5人の生活になった。



 家は大阪市東淀川区にあり、近くの啓発小学校に転校することになった。


 私は当時よく「警察学校」とか言ってたな



 新しい生活に私は凄くウキウキしていた。


 2年2組の教室に入ると担任に紹介された。



「みんなの新しい友達で雨夜優里さんですよ。仲良くしてねぇ。雨夜さんに何か質問ある人いるかな?」



「はぁ~ぃ。」



 とひとりの女の子が手を挙げた。


 女の子は


「雨夜さんはお母さんいますか?」


 と聞いてきた。



 私は


「いません…。」


 と答えた。



 続いて女の子は


「じゃあお父さんは?」と聞いてきた。



「いません…。」



 私は消え入りそうな声で答えながらも親父のことを思い出し、泣きそうになった。



 すると急にクラスのみんながざわざわし始めた。


「おぃ…父ちゃんも母ちゃんもおらんのにどうやって生活してんのかな?」



 とか色々な声が耳に飛んできた。



 両親がいない小学生…。まだ、幼い子どもたちには理解し難い事実だったのかもしれない。



 すると担任の先生が



「雨夜さんは、御両親が亡くなられて、今は親戚に当たる伯父さんの所で暮らしてるのよ。」


 と言ってくれた。



 学校の近くには飛鳥子供会があった。子供会というのは、差別に対しての勉強をしたり、遊べるグラウンドや部屋などが設けてある施設でした




 学校帰りに寄っていく子がクラスにも何人かいた。

 その中のひとり、大門君が



「雨夜も家近いんやったら子供会来いよ。」



 と誘ってきた。



 私は



「うん。行くわ。」



 と答えた。

 新しい友達ができたみたいで嬉しかった。



 ある日大きな段ボールが私宛に届いた。

 開けてみると、恵美小学校のクラスのみんなからの手紙がどっさりと入っていた。


 ひとつひとつ、名前を見て、メッセージを見て、ひとりひとりの友達の顔を思い浮かべた。


「新しい学校で頑張ってね」

「新しい学校では暴れないようにね」

「勉強頑張って」

「またこっちにも遊びに来てよ」

 などなど、沢山のメッセージに感謝した


 だからなのか、それっきり会うこともなかった恵美小学校の友達で仲の良かった子の名前はしっかり覚えてる


 そう、私は転校して新しい学校に来たんだ

 新しい自分になろう!

 子どもながらにそう考えたのだった

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