第22話

運動会から約一ヶ月


●ドドドドドドという地響きがタカチホベースに響き渡る。

●グラグラと揺れるタカチホベース。


馨「うわ! 空襲?」


●渡嘉敷、タブレットを見ながら馨に報告。


渡嘉敷「ご心配なく、ただの地震です」


馨「いやいや……地震は地震で心配だよ。結構大きいよね?」


渡嘉敷「震度5弱、大きめですね」


●渡嘉敷、タブレットで地震の速報を検索しつつ答える。


馨「なんかさ、ここんとこ地震多くない?」


渡嘉敷「そういえばこの1週間、北海道から沖縄まで日本中が揺れてますね」


●揺れが静まったので周囲を見回す馨と渡嘉敷。


渡嘉敷「今の地震の震源は茨城県津波の心配はありません」


●馨もタブレットを取り、確認しながら渡嘉敷に支持を出す。


馨「とりあえず、持ち場のチェックをしてください。オクトとコロッサスのチェックも忘れずに」


渡嘉敷「はい!」


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●場面代わり、北野隊長の部屋(隊長室)に呼ばれているアラタ。


アラタ「僕が……宇宙そらですか?」


北野「ああ、人類初の宇宙戦にどうしてもお前が欲しいらしい」


アラタ「……それは父の命令ですか?」


北野「さてね、俺にそこまではわからん」


●わずかに眉を寄せるアラタに、どこ吹く風といった様子で椅子にもたれる北野。


アラタ「……第参ベースに人的補強は入るんですか?」



北野「いや 現状のままだ。お前が抜けたら…8人で頑張るしかないな」


アラタ「……断ることはできないでしょうか?」


北野「そりゃあ無理だな。というか、なんだ残りたいのかここに」


●北野、アラタの言葉に少し意外といった表情に。


アラタ「あまりにも戦力が落ちるのではないかと」


北野「それはそうだな。なんとか学生連中を生かして帰してやりたいが、難しいかもしれん」


アラタ「――北野さん。僕が残る方法を考えてもらえませんか?」


北野「お前が頼みごととは珍しいな。どうした? あいつらに情でも移ったか?」


アラタ「そういうわけでは……」


●アラタが北野から視線を外した途端、スクランブルの警報が入る。


北野「定時爆撃か? ほら、スタンバイだ」


アラタ「……はい」

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●場面代わり、警報により騒がしくなる整備班。


馨「そこ、のんびりしないで! 第1小隊から順に出るよ!」


●第1小隊の3機が発進するカット。


●【北野体長の回想シーン】入る。/隊長室でビデオ会議中の北野の様子


北野「齋藤新一尉を宇宙そらに? そりゃあまた、急な配置換えですね」


ディスプレイに映る男「これは決定事項です。速やかに引き継ぎをお願いします」


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●場面代わり最前線の第1小隊の様子。


アラタ「木野本は右、浅沼は左に展開! 俺が囮になる。適宜撃墜しろ」


木野本・浅沼「「了解!」」


●的確に指示を出すアラタ。

→運動会から1ヶ月が経ち、アラタの中でチームワークの芽が出て育っています。


●アラタのコクピットのモニターでAI「Paranthropus」が稼働。

●「BEHAVIOR PREDIDICTION(行動予測)」が(Run)実行される。


●モニターに戦場周辺のマップが表示され、オリュンポスのコロッサスの行動パターンが可視化される。


アラタ「第2小隊、第3小隊に情報を共有する。ディフェンス回避運動はAIに一任。アタック攻撃に集中!」


一同「「「「「了解!!!!」」」」」


●アラタのリンク攻撃でオリュンポスのコロッサスを一網打尽にする第参ベースのコロッサス隊。

●ダウンしているオリュンポスのコロッサスを包囲しているカットなど。

→学生もアラタのリンク攻撃に慣れて各々活躍。

→長澤と杉咲機も狙撃ではなく、接近戦に参加しています。


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●【北野隊長の回想シーン】続き/体長室でのビデオ会話


ディスプレイに映る男「直近の齋藤一尉の成績は素晴らしいですね。これがいわゆる北野再生工場ですか?」


●“再生工場”という言葉を聞き、薄く笑いを浮かべる北野。


北野「そんなんじゃねぇよ。でもまぁ、逸材だな。齋藤一尉は」


ディスプレイに映る男「宇宙そらでも活躍することを祈念します」


北野「若いもんにばっかり頼って、俺たち年寄りはバチが当たらねえかな?」


ディスプレイに映る男「いつの時代も若い人材が人柱になるのは必然です。慣れてください」


北野「――あんた、イヤなやつだな」


●画面の向こうの男の言葉に唇を引き結ぶ北野。


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●場面代わり、再び前線の様子。

●リンク攻撃で接近戦に参加する第3小隊の長澤と杉咲。


長澤「なんかもうボーナスステージだな、これ!」


杉咲「何の話ですか!? こんな時に!」


●長澤機と杉咲機が次々にオリュンポスのコロッサスを撃墜する。

●続いて第2小隊の学生たち。


石川「なんか俺たち、めちゃくちゃ上手くなってないか?」


古田「負ける気がしない」


●そしてアラタ率いる第1小隊。


木野本「よし、このまま直線上の敵に同時に行くぞ」


浅沼「タイミングはお前に合わせる」


●新型武器「零距離攻撃用突撃兵器パイルバンカー」のカット入る。


木野本・浅沼「「せ―――の!!」」


●敵コロッサスの両脇に走り込んだ木野本機、浅沼機。敵コロッサスを貫く2本の杭。

→コクピットは狙っていません/上腕や腰など機動部分にダメージを与えるように。


木野本・浅沼「「よっしゃー!!」」


●一方、アラタは残存兵力を次々に撃破している。

●表示されるマップ内の敵機が次々とロストしているのに気づく木野本。


木野本「俺らが1機撃墜する間に6機は撃破してねぇか? うちの小隊長」


浅沼「あの人が敵じゃなくてよかった」


●真面目に安堵する浅沼。


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●場面代わり、司令室の北野隊長のカット入る。


アラタ「これより全機帰投します」


北野「おう。お疲れさん」


●アラタの報告を聞き、ふぅ、と軽いため息をついて立ち上がる北野。

●そこへまたユラユラと地震が起きる。



北野「なんだ……気味の悪い地震だな。揺れてるってーより揺すられてる感じだ」


●建物を透かして空を見るように天井を見上げる北野。


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●場面代わり、オリュンポス円卓会議の場。

●玉座のような椅子に座っている子供の姿のゼウスが他のメンバーに問いかける。


ゼウス「ねぇ、セカンドデュカリオンの進捗は?」


デメテル「人工地震、人工津波共に運用可能領域に入ってきました」


ゼウス「試験運用とか考えてるの?」


デメテル「1週間後にインドネシア諸島のいくつかを沈めてみようかと」


●デメテルの言葉を聞いたゼウス、あどけない顔に満足げな笑みを浮かべる。


ゼウス「いいね。やってみせて」


デメテル「では、準備に入ります」


ゼウス「ねぇ、ヘルメス。終末時計を進めてよ」


ヘルメス「承知しました。それで≪楽園解放タイタノマキア≫の期日はいつにしますか?」


ゼウス「うーん…そうだなぁ。3ヶ月後の12月24日ってどう?」


ヘルメス「聖夜ですか。よろしいかと」


●現在9月24日想定です。

●残り92日→2208時間→132480分→7948800秒

上記いずれかの表記のカウントダウンでEND


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