第47話 新しいライバルの誕生?(みのり編)
「無口君と話をして、どんなふうに思った?」
「一年前とほぼ同じだったよ。究極に不器用な男は、思考の切り替えが不得手みたいだね」
「みのり、もう一度狙ってみるの?」
「当然だよ。私の好きになれる人は、達以外にはいなさそうだもの」
他の男と恋愛を試みるも、まったく受けつけなかった。ど真ん中以外はクソボールになるほど、恋愛のストライクゾーンは狭い。
「幸恵、ごめんね・・・・・・」
幸恵は一週間前に、三年間交際していた男と破局した。理由ははっきりといわないものの、達とハグしたことが起因となっている。
「大学生になってから、ほとんど会えていなかったからね。遠距離恋愛は苦手だから、遅かれ早かれ、別れていたんじゃないかな」
達とハグをしてから、微妙な距離感が生まれるようになっていた。はっきりとしたことはわからないものの、本音で話すのを避けている。ライバルになりうる女性に、警戒心を抱いている。
「わたしもね・・・・・・」
幸恵から飛び出した発言は、みのりに多大は恐怖を感じさせるものだった。
「最愛の人を奪おうものなら、すぐに絶交するからね」
同じ異性を好きになってしまった親友。仲間ではなく、完全なライバルになりさがった。
「前にもいったとおもうけど、失言癖だけは絶対に無理だよ。堪忍袋の緒が完全に切れて、永久的に話をする機会を失うだけ」
「でも・・・・・・」
「命の恩人だけは、絶対に嫌いになりたくないの。そんなことになったら、痴漢の二重パンチに絶望する」
命の恩人であり続けることが、生きていくための絶対条件になっている。痴漢における傷は、画像を流出されたことよりもずっと重いのかなと思った。
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