第17話 母の目の玉が飛び出しそうになった
みのりと遊びに行くことを伝えると、母の目の玉は飛び出しそうになっていた。
「あ、あんたが女の子と遊びに行くの。相手は超絶不細工、超絶デブ、顔はゴキブリみたいな女なのかしら。そうでなければ、髪の毛で顔を覆っている変人を遊びに誘うなんてありえないもの」
「かあさん、ひどすぎるんだけど・・・・・・・」
かあさんはメイクを直した。50のおばさんがどんなに頑張っても、美人になることは不可能なのに。無駄な努力をするくらいなら、料理の腕を磨いてもらいたい。
「男の友達すらいないのに、女の子と遊びに行くなんてありえないもの。あんた、詐欺にひっかかったんじゃないわよね」
詐欺にひっかかったといわれ、おおいに動揺することとなった。
「それはあるかもしれないけど・・・・・・」
かあさんは体を揺さぶってくる。
「そうだわ。あんたはだまされているんだわ。目を覚ましなさい」
息子をここまでこけにするなんて。母親の中の息子像はどうなっているというのか。
「詐欺にひっかかる前に、警察に通報しておいたほうわいいわね」
スマホを取り出したところを見て、本気であるのを感じ取った。
「かあさん、そこまでしなくていい」
「息子がお金をだまし取られようとしているのに、母親として放っておけないわ」
「相手は学校関係者だ。詐欺を働くのは、さすがにリスキーすぎる」
犯罪行為に手を染めれば、大学退学を余儀なくされる。相手側としても、それだけは避けようとするはず。
「そうなんだ。犯罪者ではなさそうだね」
母親がひねくれた思考をしているから、こちらも同じようになってしまった。
「息子の奇跡に祝杯をあげようかしら」
すべてにおいて、失礼すぎる母親。失言癖については、この人の血を100パーセント受け継いでいる。
「あんた、絶対にものにしなさいね。さもなくば、独身まっしぐらになるからね」
遊びに行く当人よりも、母親のほうが真剣になるなんて。変人を誕生させた女は実に面倒くさいなと思わずにはいられなかった。
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