第4話 機会をなかなか作れない(まとい編)
まといは一年前から、ある男性に恋をしていた。クラスで誰とも距離を取っている、無口達という男性である。
好きになったきっかけは、無口達の個性的なところ。他のクラスメイトとは、明らかに異なったものをもっている。当たり前になれてしまった女性にとって、いろいろな刺激をもたらしてくれる。
「まといの恋愛対象は一年前から同じままなの?」
「そうだよ。無口君のことが大好き」
莉愛はものすごく大きなため息をついた。
「まといは選べる立場なのに、よりにもよって・・・・・・」
恋愛観を否定されたことで、唇を尖らせてしまった。
「私が本気で好きになった人を、悪くいわないで・・・・・・」
人生のすべてを捧げることになっても、達のために尽くすつもりでいる。頭の中にあるのは、彼のことだけだった。
「50点の友達を100人作るよりも、100点の友達を一人作れるほうがいいよ。50点はどんなにいても、50点でとどまるんだもの」
50点を10人集めても、50点を得られるだけである。60点になることもなければ、70点になることもありえない。最大値を取るためには、100点の人間と一緒になる必要がある。
「まとい、学校では絶対に禁句だよ。みんなを敵に回しちゃうよ」
「わかっているよ。莉愛以外には、話すつもりはない」
50人以上の友達の中で、心を許しているのは莉愛だけ。他の友達については、適度な距離感を保っている。過度に介入しようとしてきたら、分厚い壁を作るつもりでいる。
「私は成り行きを見守ることしかできないね。相手と心をつなげられるといいね」
声のトーンからして、応援していないのは伝わってくる。そのことにムッとするも、指摘しないことにした。
「うん、やってみる・・・・・・」
やってみるといったものの、相手は難攻不落の男。高校卒業までに、接点を持つことはできるのだろうか。一言も交わさないまま、卒業することになりそうだ。
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