第216話 ゼクトの結婚式 そしてお別れ


いよいよ、今日はゼクトの結婚式だ。


席順から何から考えるのが本当に大変だった。


何しろ魔王、教皇、王族ですら見劣りする面子ばかりだ。


「ゼクト、マリン、ルナ、リダ、マリア、メル 貴方達は病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、死が皆を分かつまで命の続く限り、お互いを愛し、敬うことを誓いますか?」


ゼクトはタキシードに他の皆はちゃんとウエディングドレスを着ている。


結婚の誓いをする相手は女神イシュタス様で進行は俺だ。


顏には出さないけど緊張しているようだ。


「「「「「「誓います」」」」」」


「この女神イシュタスの元に皆の婚姻を認めます」


「それでは新郎と新婦はこれにて結ばれる事に……まぁイシュタス様に誓ったんだから絶対に別れないでね……別れたらもう、知らないからな」


「セレス…様、もう少し、何か言葉は無いのかよ!」


「そうだな、ゼクトは一見軽そうだし、馬鹿な事もやるけど根っこは良い奴だ…本当に困ったら俺も助けてやるから、その支えてあげて欲しい……頼むよ」


「「「「「はい」」」」」


「おい……面倒見ているのは俺だろうが」


「そうだな、最近はうん、良い男になったよ。勇者、その言葉は今のお前には凄く似合う称号だ。結婚をしたんだ、もっと、もっと頑張れよ親友。悪いな、どうしても挨拶の言葉が上手く浮かばなかった。だから、これで許して欲しい。マリン、ルナ…ゼクトに力を貸してくれてありがとう。多分、またリダ、マリア、メルが迷惑を掛けると思うから…頼むね…皆、皆…根は良い奴だから」


はははっ、何故か嬉しくて涙で目の前が霞んできた。


「「はい」」


「リダ、マリア、メル…ゼクトと一緒に幸せにな」


「「「はい」」」


「じゃぁ…本当に頑張れよ…」


「「「はい」」」


「あのな…セレス…お前が泣いてどうする?」


「仕方ないだろう、幼馴染が立派になって結婚したんだから…」


「まぁ俺ららしくて良いけどよ…だけどこれ世界中継されているんだぞ」


ある意味異種族皆で祝われての結婚式だ。


魔法や魔道具を使い全世界に中継されている。



「まぁ良いや…俺が応援するから幸せになれよ」


「「「「「「はい」」」」」」


ドタバタしながらゼクトの結婚式は終わった。


大体、教皇がいるのに俺がこんな役をする事になるなんて昔は思わなかったな。


進行を押し付けたかったが『イシュタス様やセレス様が居るのに…私ごときが』と言って魔王も含み全員辞退、酷い話だ。


セレス様というなら俺が困っているなら助けて欲しい。


バウワー様や竜族も逃げるし…


こんな式になってしまったが、俺は頑張った……よな。


◆◆◆


式は終わり此処からは会食の時間になった。


交流を考え立食式を考えた。


ゼクト達から挨拶を受け、俺の進行の仕事もようやく終わった。


イシュタス様は顕現している時間が来たのか式が終わったらすぐに神界に戻っていった。


魔王ルシファードを含む各国のお偉いさんとの挨拶も終わり……ようやく俺も妻達とゆっくり食事の時間を楽しめる。


静子、ハルカ、ミサキ、サヨ…本当に綺麗だ。


そしてマリアーヌにフレイ、セシリアも流石は各国の王女や聖女…思わず見惚れてしまう。


「セレスくん、まさかこの齢でドレスを着るなんて思わなかったわ……どうかしら?」


「少しはずかしいな、セレスどうかな?」


「セレスちゃん……どうかな?」


「セレスさん……少し恥ずかしいわ」


静子さん達四人が俺が1人になったのを見て速足で傍に来た。


「皆、綺麗だ…思わず見惚れてしまった」


「セレス様、私はどうですか?」


「どうかな?」


「どうですか」


今度はマリアーヌさん達だ。


「思わず見惚れる位綺麗だよ」


嫁の数は俺の方が人数が多い。


もうゼクトを『ハーレム野郎』とは言えないな。


よく考えたら、俺はギルド婚はしていてもウエディングドレスを着た。教会式の結婚式はあげていない。


いつかは皆にも着せてあげたいな。


暫くすると、会場の天井に俺の姿が魔法で映し出された。


これはあらかじめ静子さんや皆と話し合い決めていた事だ。


『皆、今は凄く世界は平和になったと思う…そう思わないか?』


周りがかなりざわつき始めた。


『教皇と魔王が茶飲み友達になり、同じ国でチェスを楽しみ、魔王が勇者を四天王にスカウトする。魔族や知能の高い魔物と森で挨拶し何事も無く別れる。 本当に昔は考えられない事だ。もうこの世界は平和になったと思わないか?』


ゼクトやマリア、リタ、メルが驚いた顔でこちらを見た。


更に映像は流れ……さぁ本当のサプライズだ。


『ゼクト…受け取って貰いたい、四天王の返事まだなんだろう? 君を『二代目コハネ王に任ずる』 財産も大半は置いて行くつもりだから頑張れよ』


どうだ、驚いたか?


これが俺のゼクト達へのプレゼントだ。


ゼクトが勇者時代になりたかった王族の地位、国ごとプレゼントだ。


「おい、セレス……これ」


驚いている、驚いている。


これが見たかったんだ。


『ロスマン名誉教皇、ロマリス教皇、魔王ルシファード、ザンマルク四世、サイザー帝王、若輩者だと思いますが根は良い奴なんです、面倒見てくださいませんか』


ここで映像が終わる。


各国の責任者がその映像に答えてくれた。


「神からの頼み、このロスマンが断る訳ありませぬ」


「このロマリスがしっかりと見させて頂きます」


「セレス様は我らの大魔王、そして神です、その願い必ずや」


「私でよければ……」


「引き受けました」


「これで安心しました! ありがとうございます。お願いしますね」


皆の言葉に俺は感謝の意を込めて答えた。


「おい、セレス…これはどう言う事なんだよ」


驚いたゼクトが俺の元へ走ってきた。


「ゼクト、君は王様になりたかった筈だ、昔一緒に旅した時そう言っていたじゃないか? 言ったよな?」


「確かにいったな」


「途中色々あったが、今のゼクトになら、国王になる。その資格はあると思うんだ。だから譲ってやるから、なれ!」


「セレス……どうしてだ……」


「俺、神竜になっちゃったけど、本当はジムナ村での生活が気に入っていたんだ。 俺に王族なんて似合わない。なりたい奴がなれば良いんだよ! 俺達はどこかでひっそりとスローライフでも楽しむつもりだよ」


「やっとまた友達に戻れたんだ、俺はお前ともっと酒を酌み交わしたい」


「ゼクト…親友なのは変わらない、以前お前が俺がパーティを去る時に言った言葉だ。 何処に居ても親友なのは変わらない。またそのうち気が向いたら遊びにくる」



「解った……そこ迄言うなら受けるよ、ありがとうな!セレス」


『ああっ頑張れよ! リダ、マリア、メル……頑張ってゼクトを支えて暮すんだぞ』


「うん、僕頑張るよ」


「ええっ任せて」


「うん、頑張る」


「ルナ、マリン……ゼクトを支えてくれてありがとう! 平和な時代に必要ないかもしれないが、俺からささやかな加護をあげよう、まぁ他の花嫁は三職だから、これ位はあった方がよいだろう……ほら」


ルナとマリンのささやかな黄竜の加護を与えた。


ゼクトを立ち直らせてくれた。


その事に対してのお礼がしたかったんだ。


「ありがとう」


「ありがとうございます」


「それじゃ、皆んな、楽しかった! さようなら」


全員に挨拶をして式場を後にした。


こうして俺達は表舞台から消える事にした。


(第一部 完)


次回から、セレスの新しい物語が始まります。




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