第2話 新井輝『ROOM NO.130』と若年司法試験合格
オカモト弁護士の法的考察
第2回 新井輝『ROOM NO.130』と若年司法試験合格
岡本 馬路
※ネタばれ注意
本エッセイには新井 輝『ROOM NO.1301 の本編10巻以降で明らかになる部分のネタばれがあります。未読でネタばれなしに読みたい読者は本エッセイの以下の部分は読み飛ばしください。
『ROOM NO.1301』(ルームナンバー1301)は、新井輝による日本のライトノベル。イラストはさっちが担当。富士見ミステリー文庫(富士見書房)より2003年から2012年まで本編11巻短編種4巻が刊行された。(ウイキペディアでは2012年発行の11巻が反映されていない 2025年6月3日確認)
スピンオフが予定されていたが、2025年5月現在でていない。
ストーリー全体のネタばれ紹介
自分は恋愛には向いていないと思っていた高校1年の絹川健一は、クラスメイトの大海千夜子に告白され、桑畑綾と出会い、鍵を拾ったことによって12階建てマンションの存在しないはずの13階の部屋へと招待される。健一、綾、八雲刻也(やくもときや)、冴子、日奈の住人たちと不思議な13階の住人と関係者たちの青春群像劇。
刻也は、1302号室の住人で、健一のクラスメイトでもある。綾からは「管理人」と呼ばれているが、あくまで名前だけの通称である。かなりの高身長で成績優秀。本当は有名進学校に入るつもりだったが、とある事情で受験できなかった。鈴璃は小学生の時からの恋人であり、彼女と一緒にファミレスにてバイトをしている。実家はあるが事情によりあまり帰りたくないらしい。妹がいる。色恋の話は苦手で、鈴璃の話もしたがらなかったが、健一が鈴璃と偶然会ってしまってからはあまり気にしないようになった。人から相談事を受けてアドバイスをしても何故か確実に相手に酷い結果をもたらしてしまう(およそ考えられないような偶然が発生したりする)ため、「自分は人の相談に乗るのが苦手である」というコンプレックスを抱えている。そのためか弁護士になる気は全くない。
伏見つかさ『エロマンガ先生』9巻では小学5年の綾ちゃんと大学をでた獅童くんが読んでいるという設定になっているが、小学生がよんでいいのか、疑問ではある。R15ではなかろうか。
5年後の世界ではツバメと刻也が街角で偶然であり、ふたりは刻也の実家でお茶をする。
ツバメは短大2年、刻也は東京大学法学部に通っている。自分に課せられた義務であるとして、司法試験には合格するが、法曹職を目指してはいない。学内での友達はほとんどいないと述べている。
5年後なのでストレート合格で東大法学部の2年と思われ、20歳か19歳、
20歳や21歳での合格もありうるのか。
司法試験は未成年受験を考慮していないのでlそれ以下はいないようには思われる。。
時事ネタがあまりでてこない作品なので時代の特定が難しいが、携帯電話がつかわれていて、スマートフォンがでてこないので、2008年以前ではないかと思われる。
2025年現在の司法試験では受験資格が、司法試験予備試験合格が法科大学院卒業・卒業予定が前提となっている。法科大学院は2005年にはじまっているが、入学資格が大学卒業なので、最短の2年で卒業しても、24歳が最年少合格になる。刻也は東京大学在学中で別の大学を卒業してもいないので、大学院ルートはない。
司法試験予備試験は2011年にはじまるので2008年には予備試験ルートはない。
ということで旧司法試験に合格している、ということになる。
旧試験では受験資格に制限はないので最年少合格の年齢は理論的にはさがる。しかし、おおむね倍率3倍前戯、1500人合格の現在の司法試験にくらべて1000人合格)(っ本職の時代は500人)(で受験浪人だらけだったので難易度はだいぶちがってくる。
本職は倍率37倍の時代に25歳で合格している。
大学3年で合格する者もめったにでないがいることはいたので早生まれなら20歳合格は十分ありうる。
憲法・民法・刑法の3科目の択一、憲法・民法・商法・刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法の六法の論文式試験と口述試験となり、平均合格年齢26歳の試験であるが、ヤマが全部あたればあたりうる。
刻也の設定は2003年段階で固まっていたようであるが、2002年段階での司法試験の2次試験の倍率は45672人の出願に対して合格は1153人であり、合格率2.59パーセント 競争倍率は38,61倍である。東大法学部の3年なら1人いるかいないか、いないほうが多いといったところであろう。
だいたい1万時間の勉強が必要とされるが、高校1年から司法試験用の勉強をしていれば3年時でもたりているかもしれない。
本職のころと倍率はあまりかわらない。20歳で合格していたらマスコミ等で相当話題になるレベルだったと思われる。
ツバメは刻也にまったくこころひかれていないのはちょっと不思議ではある。
参考資料
法務省HP
【https://www.moj.go.jp/content/000054973.pdf】
関連条文
現行司法試験法
(司法試験の目的等)
第一条 司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。
2 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十六条の試験は、この法律により行う。
3 司法試験は、第四条第一項第一号に規定する法科大学院課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に行うものとする。
(司法試験の方法等)
第二条 司法試験は、短答式(択一式を含む。以下同じ。)及び論文式による筆記の方法により行う。
2 司法試験の合格者の判定は、短答式による筆記試験の合格に必要な成績を得た者につき、短答式による筆記試験及び論文式による筆記試験の成績を総合して行うものとする。
(司法試験の試験科目等)
第三条 短答式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。
一 公法系科目(憲法及び行政法に関する分野の科目をいう。次項において同じ。)
二 民事系科目(民法、商法及び民事訴訟法に関する分野の科目をいう。次項において同じ。)
三 刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目をいう。次項において同じ。)
2 論文式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な学識並びに法的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。
一 公法系科目
二 民事系科目
三 刑事系科目
四 専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目
3 前二項に掲げる試験科目については、法務省令により、その全部又は一部について範囲を定めることができる。
4 司法試験においては、その受験者が裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を備えているかどうかを適確に評価するため、知識を有するかどうかの判定に偏することなく、法律に関する理論的かつ実践的な理解力、思考力、判断力等の判定に意を用いなければならない。
(司法試験の受験資格等)
第四条 司法試験は、次の各号に掲げる者が、それぞれ当該各号に定める期間において、三回の範囲内で受けることができる。
一 法科大学院(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第六十五条第二項に規定する専門職大学院であつて、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。)の課程(次項において「法科大学院課程」という。)を修了した者 その修了の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間
二 司法試験予備試験に合格した者 その合格の発表の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間
2 前項の規定により司法試験を受けた者は、その受験に係る受験資格(同項各号に規定する法科大学院課程の修了又は司法試験予備試験の合格をいう。以下この項において同じ。)に対応する受験期間(前項各号に定める期間をいう。以下この項において同じ。)においては、他の受験資格に基づいて司法試験を受けることはできない。前項の規定により最後に司法試験を受けた日後の最初の四月一日から二年を経過するまでの期間については、その受験に係る受験資格に対応する受験期間が経過した後であつても、同様とする。
(司法試験予備試験)
第五条 司法試験予備試験(以下「予備試験」という。)は、司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに口述の方法により行う。
2 短答式による筆記試験は、次に掲げる科目について行う。
一 憲法
二 行政法
三 民法
四 商法
五 民事訴訟法
六 刑法
七 刑事訴訟法
八 一般教養科目
3 論文式による筆記試験は、短答式による筆記試験に合格した者につき、次に掲げる科目について行う。
一 前項各号に掲げる科目
二 法律実務基礎科目(法律に関する実務の基礎的素養(実務の経験により修得されるものを含む。)についての科目をいう。次項において同じ。)
4 口述試験は、筆記試験に合格した者につき、法的な推論、分析及び構成に基づいて弁論をする能力を有するかどうかの判定に意を用い、法律実務基礎科目について行う。
5 前三項に規定する試験科目については、法務省令により、その全部又は一部について範囲を定めることができる。
(司法試験委員会の意見の聴取)
第六条 法務大臣は、第三条第二項第四号若しくは第三項又は前条第五項の法務省令を制定し、又は改廃しようとするときは、司法試験委員会の意見を聴かなければならない。
(司法試験等の実施)
第七条 司法試験及び予備試験は、それぞれ、司法試験委員会が毎年一回以上行うものとし、その期日及び場所は、あらかじめ官報をもつて公告する。
(合格者の決定方法)
第八条 司法試験の合格者は司法試験考査委員の合議による判定に基づき、予備試験の合格者は司法試験予備試験考査委員の合議による判定に基づき、それぞれ司法試験委員会が決定する。
(合格証書)
第九条 司法試験又は予備試験に合格した者には、それぞれ当該試験に合格したことを証する証書を授与する。
(合格の取消し等)
第十条 司法試験委員会は、不正の手段によつて司法試験若しくは予備試験を受け、若しくは受けようとした者又はこの法律若しくはこの法律に基づく法務省令に違反した者に対しては、その試験を受けることを禁止し、合格の決定を取り消し、又は情状により五年以内の期間を定めて司法試験若しくは予備試験を受けることができないものとすることができる。
(受験手数料)
第十一条 司法試験又は予備試験を受けようとする者は、それぞれ実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を納付しなければならない。
2 前項の規定により納付した受験手数料は、当該試験を受けなかつた場合においても返還しない。
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