死地送りの寡黙な処刑人、なぜか美女にモテるハーレム(R15)

悠・A・ロッサ @GN契約作家

第一章 処刑命令と雷閃の処女将の夜

第1話 雷閃の敗北

黄昏の砦、地下牢。

血と鉄の匂いが暗闇に染みる。


「動くな、処女将! 処刑前に楽しむぜぇ!」


男達がミラにのしかかる。

軍服を裂き、浅黒い肌に爪が食い込む。


「触れるな、クズ!」

雷閃の処女将、ミラ=レイズ。


ゼルタ帝国の女将軍。銀灰の髪、燃える瞳。

裂けた軍服から傷跡が覗く。

帝国の裏切り、仲間の血を背負い、誇りは砕けない。


「雷閃の処女将がこのザマか!」


その瞬間、扉が開く。


レオン=カイン、処刑執行官。

35歳。

灰色の瞳に冷たい殺意。


拳が兵の頭を砕く。

血が散り、崩れる。

もう一人の腕を短剣ごと叩き折る。

骨が鳴る。


「拘束しろ。明朝、軍法会議だ」

「こいつは敵だぞ!」

「処刑は手順に従う。獣ではない」


ミラは床の短剣を拾う。

雷鳴の速さでレオンに襲いかかる。


「死ね!」


刃に裏切りの怒りが滲む。

誰も信じない、敵兵への憎しみ。

レオンの手が手首を掴む。

強く、だが優しく。


「遅い」


静かな声。

灰色の視線が、ミラの燃える瞳を捉える。

軍服が滑り、裸の胸が揺れる。

汗と血に濡れた肌が晒され、吐息が震える。

熱が疼く。


レオンの声は低く、静か。

ミラの腕を放す。


彼女は壁に凭れ、乱れた服を直さず唇を歪める。

「ヴェルシュタイン王国にもマシな奴がいるか」

「ミラ=レイズ。ゼルタの『雷閃の処女将』か」

「そうだ」

「レオン=カイン。処刑執行官。

 処刑は明朝だ。『契約の夜』を行うなら名を記せ」

「古臭い風習だ」

「選ばなければ、誰も見送らず終わる」

「上等だ」


裂けた軍服、濡れた肌、燃え残る瞳。

誇りも、怒りも、まだ折れていない。


「美しいな」


ミラの心が揺れる。

刃を向けた男に、なぜか熱が走る。

それを振り払うように。


「そんな口で女が落ちるか?」


レオンは無言で去る。

ミラの瞳が、背を追い、震えた。

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