第7話「終わらぬ痛みの果てに」

病室の白い天井をぼんやりと見つめる恭介の心は、疲れ果てていた。体は病に蝕まれ、心は税金という無情な鉄鎖に繋がれているようだった。入院生活は孤独だった。訪れる者はほとんどなく、家族の声が途絶えた日は、まるで自分がこの世界から消え去ったかのような錯覚に陥った。


病院の窓から見える灰色の空は、彼の絶望と重なるかのようにどんよりと広がっていた。恭介はこの状況から逃れる術もなく、ただひたすら過ぎゆく時間を呆然と受け入れていた。


だが、ある日、病院の廊下で偶然出会った同じように税金の負債で苦しむ男性、田島に話しかけられた。


「税金ってのはな、まるで怪物だ。俺もお前も、奴の餌食だ。だけどな、諦めちまったら、そこで終わりだぜ。」


田島の言葉には、厳しい中にもどこか温かみがあった。彼もまた税金に追い詰められたが、闘い続けているという。


二人は病室で少しずつ心を通わせ、税金の残酷さと、そこから逃れられない現実について語り合った。


しかし、そんな小さな希望も長くは続かなかった。恭介の体調は日に日に悪化し、医師からも長期の余命を告げられた。


「税金に追い詰められて、心が折れ、体まで蝕まれる……これが現実だ。」


恭介は深い無力感に襲われたが、田島の言葉が彼の胸にこだました。


「諦めるな。最後の最後まで生き抜け。」


最期の力を振り絞った恭介は、家族に手紙を残した。そこには、税金の重圧に苦しみながらも、わずかに希望を捨てなかった父親の魂が刻まれていた。


手紙を読んだ美奈子と美咲は、泣きながらも彼の意志を胸に刻み、未来へ向かって歩き始める決意をする。


だが、その歩みは険しく、税金の影はまだ深く、家族の前に暗い影を落としていた。

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