手紙は誰に届くのか

”祖父の手帳を読み返すうちに、奇妙な既視感が増してきた。

いや、正確には「まだ読んでいないページに、見覚えがある」ような気がするのだ。”


昨日は風が強かった。

窓がカタカタと鳴り、いつの間にかページがめくれていた。

気がつくと、そこには明日の日付が記されていた。


「誰かから、手紙が届く。封筒には宛名がない。中には“何も書かれていない”紙が入っている」


今日の朝、ポストにそれはあった。

本当に、何も書かれていない便箋が一枚、白い封筒に入っていた。

わたしは思わず笑ってしまった。

「またか」と思ったのかもしれないし、「これで済んだなら軽いものだ」と思ったのかもしれない。


それでも、紙は捨てられなかった。


手帳に書かれていた予言──いや、予定表──は、少しずつ、わたしの中に溶け込んでいた。

最初は疑っていたのに、気づけば“そうなるもの”として受け入れていた。


今日も、何気なく紙に書きつけた一節が、数時間後に現実になった。

それは、たった一文だった。


「明日も、また誰かが読む」


……この“誰か”とは、いったい誰のことなのだろう。

そして、これは本当に、わたしの文章なのだろうか?


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