第14話 何でもない日
あれから4ヶ月が過ぎた
気づけばもう12月。
満桜と過ごす日はあっという間だった
学校の生活は前と違って色んな人と仲良くなることが出来た。それは満桜のおかげ
家族とも本音を言い合えるようになってミオとも本物の姉妹みたいになれた。
満桜に出会わなければまた最悪な日々を過ごしていたんだろうな。ほんとに感謝してもしきれない
今日は学校をズル休みして満桜の病院にきた
どんな顔するのかな!!
満桜の好きなクッキーを買って
自転車に乗って病院に来た
最近バイトを始めたおかげで満桜に3週間くらい会えてなかったからすごくドキドキするあの頃みたいに。
満桜の病室に着くとまだ寝ていた
3ヶ月前のズタボロになった体はどこにもなくて
なんなら多分こいつ太ったな
でもこっちの方が健康的で好き
無防備ですごく可愛い
スクショタイムだぁ!!
満桜との思い出の写真はいっぱいある。
だけど満桜がこんなに可愛く寝ている姿はなくて
すぐホーム画面にした
可愛すぎるよ満桜!!!
「んんんっ?ん!!?リナちゃん!」
シャッター音で起こしてしまったみたい
「おはよ満桜!もう10時だよ」
「えこれ夢?走馬灯?なに死んだ?俺え、なんでいんの?なんでいんの!なんで!!リナちゃんなんでぇ!!!」
満桜はリナに抱きついてそう言った
かわいいなこいつ
いつまで経っても可愛い私の彼氏
いや犬かもしれない
「満桜に会いたくて学校サボっちゃった」
「何それ、可愛すぎる今日俺死ぬのかな」
「まだ死なないでくださーい」
「うううっ!!!3週間ぶりのリナちゃんんん!!」
「あーもうわかったわかったよ」
こんなに愛されているのが凄く嬉しい
両思いになれて付き合えて本当に私は幸せ者だ
「リナちゃん今日も可愛い大好き愛してる!!」
普通に照れます
「今日はお外行こうね〜」
「そ、外!行きたい行きたい!!」
あほんとに犬なのかなこの子。
めっちゃ目キラキラしてるんだけど
「この近くにショッピングセンター見つけたの、てことは?」
「プリクラ?」
「正解!制服も友達の借りてきた行こうよ!外出許可もおりてるよ」
「えやっぱり今日俺死ぬの?嬉しすぎるよ」
「大袈裟です〜早く着替えて行くよ〜」
「ね、待って」
着替えるの邪魔しちゃ行けないと思って出ていこうとしたら手を掴まれて顔を引き寄せられた
「さっきの返事聞いてない」
何だこのずるい人は、どこでそんなの覚えてきたのさ
「なにそれっ」
「俺の事すき?」
ばかばかばか!!何だこの男は!!
「好きですっ」
「もっと」
「大好き」
「足りないよ」
「満桜のこと大好きだよ世界で1番だいすき」
満足したのか腕を離される
めっちゃ顔赤いよ満桜くん
「ちゅー、したい」
「えっっ」
満桜の顔がさっきよりも赤くなるのがわかった
動揺してるのか制服落としてるし
「したい?」
「俺もしたい、です」
「じゃあ目、つぶって?」
「えっ、あ、うん……!」
満桜はまるで心臓の音が聞こえてきそうなほど赤くなって、ぎゅっと目をつむった。
私は頭にキスをした。
「えっ」
「ん?」
「く、口は!?」
「今日はここまで!」
「えええええええええ!!!
もーリナちゃんのばかっ!!!!」
病室に満桜の叫び声が響く
拗ねてるそんな満桜も可愛い
「満桜その顔おもしろ〜」
「期待したのにっ!」
「期待ってなんですか?口にするなんて一言も言ってませんよねぇ?ね?」
「悪魔だぁぁぁ!!!」
そんな満桜が好き
こうして満桜と笑いあっていたい
できるなら何十年後もずっと永遠に続いて欲しい
着替え終わったご褒美に口にキスをした
3週間の寂しさを埋めるように
にしても制服姿かっこいい
灰色のズボンに紺色のブレザーそれに赤色と青と黒が混ざったのネクタイ
様になってる
「ね、似合ってる?」
「似合いすぎてるよかっこいい満桜」
「えへへへそこまで言われるなんて嬉しいなぁ」
「ねここからリナちゃんの高校まで何分くらい?」
「ここからだと20分くらいかなあ、行ってみる?」
「行きたい!」
「わかったいこう!帰りにプリクラだね!」
「やばい、ほんとに学校行ってるみたい!」
そんな笑顔を見たらもっと幸せにしたくなる
出来れば4月まで学校を休んでずっと満桜と一緒にいたい
「しんどくなったら言ってね」
「大丈夫今日はなんか元気だよ」
「まだ死なないでね」
「任せて、それよりリナちゃんも車椅子押してくれてるけどしんどくない?」
「大丈夫だよ、勝手に1人で進まれるより怖くない」
「げっ」
この前満桜と病院の外を散歩してる時可愛い猫がいて一人で先々進んで車に轢かれそうになったことがある
ほんと勘弁してほしい
だからこの言い分だと、一人で先に進もうとか考えてるんだろうな。
「行きたいとこあるなら言いなさい」
「行きたいって言うか走ってよ風を感じたい」
そっかそうだよね足が動かなくなる前から走れなかったもんね、
「捕まっときなさいよ!!」
「はーい!!」
私の力いっぱいの全速力を出して走った
「やっばーい!風が気持ちいいハマっちゃうかも!!」
「私死にそうです!」
「リナちゃんは俺の足だよ大丈夫だよ!まだいける!」
「大丈夫じゃねーよ!」
そんなこと言い合っていたら高校に15分足らずでついた
「リナちゃんお疲れ様ありがとうねぇ」
「マジでもうやめてね河川敷でこんなんしてって言わないでね川に放り投げるよ」
「あ、あはははそんな事言わないよー!」
言おうとしてたなこいつ
「ね、学校の中入れるの?」
「うーんはいる?」
「入りたい」
先生にサボってしかも生徒じゃない人を連れ込んでるなんてバレたらどうなるんだろう
だけどこんな可愛い顔でお願いされたら断るのも出来ない。何か言われたら事情を説明しよう
満桜と一緒に登校する学校は景色が違うように見えた
満桜とこうやって毎日一緒に登校してたわいもない会話をして、一緒に帰って。
出来ないことは望まないようにしてたけど
今すごく溢れてくる
「リナちゃん?」
「あ、いやごめんなんでもない」
「どうして泣いてるの?俺のせい?ごめんね?」
「すごい幸せだなぁと思ってさ」
「リナちゃん可愛いね」
「ずっと一緒にいたいよっ」
「…そうだよね」
空気が重たい
こんな話したい訳じゃないのに
未来を想像してしまう。その未来に満桜がいる確率なんて低いのに
「リナちゃん俺が死んだら俺戻ってくるから」
「へ?」
「俺生まれ変わってリナちゃんに会いに行くから絶対に」
「何言ってんの?」
「俺がリナちゃんの何十年後を幸せにしたい」
「な、満桜っ」
「だから俺が死んでもちょっと辛抱してて?必ず会いに来るから」
そんな真剣な顔で変なこと言わないでよバカ
「リナちゃんが今後飼う動物かもしれないし、リナちゃんが産む子どもとしてかもしれない」
「絶対に今度こそずっとリナちゃんの傍にいるから」
「もう死ぬみたいなこと言わないでよそんなの死ぬ前に言いなさいよ!」
膝から崩れ落ちてしまった
こんなにも愛されてるのがすごく嬉しかった
「リナちゃんのこと大好きだよ」
「私も満桜のこと大好き」
傍から見たら普通にやばいカップルだねこれ
学校の目の前で2人して大泣きして
「リナちゃんお腹すいたねぇ」
「良い雰囲気ぶち壊れたぞ」
「ぎゃははは重たかったじゃんまぁまぁ」
「クッキーあるよ満桜の好きな」
「え!!どこで見つけたの!?ありがとう」
さっきまで泣いてた人には思えないくらい目をキラキラさせている。あぁ私犬を飼ってるんだ
子犬にしか見えない
て、てか待って担任が歩いてきてるんだけど!!
「あ、先生」
「ん、、?!柳田さん何してるの授業始まってるよ?えこの子は?」
うわぁぁどうしよう焦って何も言い訳なんて思いつかない
「す、すいません!ちょっと今日色々あって、はい!」
「あ、初めまして酒井満桜と申します!えと実は僕ここの高校に受験したかったんですけど、持病がありまして病院から出られなくて受けれなかったんです。それで今日行ってみたいって言ったら来させてくれて、すいません僕のせいです」
ごめんこんなのと言わせてしまって
ありがとう満桜
「そうだったんですね…じゃあ今日は出席にしてあげるから案内してあげてね!!」
「ほんとにありがとうございます!」
なんていい先生なんだ
私が倒れた時も先生が対処してくれた。
学校に復帰した時も分からないことがあれば全部教えてくれた。私の周りにいる人はいい人ばかりなのか。すごく心が暖かくなった
「満桜ありがとうね」
「リナちゃんがあんなに焦ってんの初めて見た俺が機転利かせなかったらリナちゃん怒られてたんじゃないの?ぎゃはははは」
こいつ!!!!
「ね!リナちゃん!屋上に行きたい!」
「えー階段だよ?」
「おんぶ!!」
「はぁわかったよ」
初めて満桜をおんぶした。
小さい体のせいなのか子どもより軽く感じた
これで生きているのが不思議なくらいに。
屋上に着く頃には息が切れてた。
でも、満桜はずっと笑っていた。
「ベンチ座ろっか」
「うわぁぁ綺麗だね夕方とかすごそう」
この無邪気な笑顔をずっと私だけが知っていたい
「俺さリナちゃんと付き合えてほんとに嬉しかったんだよ」
「なによ急に」
「初めて見た時に一目惚れしたんだぁ気づいたらどんどん好きになってた」
「満桜っ」
「あの時事情も何も話さずにリナちゃんから勝手に離れてごめんね」
そんな悲しそうな顔で話さないでよ
こっちが泣きそうになる
「もういいって」
「まだちゃんと謝れてなかったもん、自分ばっかりになってた」
「私、寂しかったんだよずっと」
「これからは俺、死ぬまでそばにいるよ」
「もうすぐじゃんバカっ」
「うっそうだった」
「余命よりももっと長生きしてみせる」
「約束だからね?」
「リナちゃんの卒業式行きたいなぁ」
「え、来てよ」
「生きてたら必ず行くよ〜」
「まだあと2年あるけどね」
約束しても叶えることなんて出来ないのは分かってる。
だけど今だけはこうして、満桜との未来を想像してみたかった
「もうすぐお昼だしご飯食べに行こうよ」
「ごはん!?行きたい!」
「よし行こう!!」
風に吹かれる度なびく髪から見える横顔も
ご飯の話をしたらキラキラ輝くその目も
全部私だけが知っていたいと思う
誰にも邪魔されないこの時間がすごく幸せ
お昼はショッピングモールでラーメンを食べた
満桜はなぜか激辛ラーメンを食べて悶えてた
馬鹿だなぁとか思いつつそんなとこがすごく好き
帰りに念願のプリクラを撮った
満桜はここぞとばかりに変顔ばっかりしてくるからまともなのは撮れてない。
だけど私達らしくて。
満桜は嬉しそうにすぐスマホの裏に挟んでくれた
そんなとこも全部満桜のことが大好きなんだと再確認できた
帰りにお揃いの服を買って病院に戻った
時刻はまだ3時
5時には病室に戻ると先生と約束だったから河川敷で昔みたいに肩を並べて座った
「楽しかったねぇリナちゃん」
「また行こうね?」
「うん!約束!!」
小指を結んで約束をした
「破ったら針千本飲ますからね」
「うううこの人怖いよぉ」
「ね、今度夜の外出許可おりたらさ」
「えっ!!!!!」
まだ前振りしかしてないのに満桜はすごく目を輝かせてるやっぱり可愛い
「ここで花火しよっか」
「やったぁぁぁ!!!したいしたい!!俺花火したことない!」
「でしょ?買っとくね」
満桜が生きてるうちに色んな景色を見せてあげたい。色んな思い出を一緒に作って最期まで楽しい人生だと思って旅立って欲しい。満桜のためならなんでも出来る気がした
満桜と河川敷で寝転がっていたらもう5時前になっていた
ほんとに寝顔が可愛くて天使のように見えた
「まーお起きるよ〜」
「んんっリナちゃん大好き〜」
寝言でそんなこと言われたら死にます私君より先に死にますよ!!!
「起きないと怒られちゃうよ!!」
「リナちゃん」
目をパチパチさせながら体起こした
そんな些細な動作すらも私を虜にさせる
「また会えるよね?リナちゃん」
「うん会えるよ」
「明日は、バイト?」
「うんバイトだ」
「会えないじゃん、、、」
「ごめんね電話しようね?」
「会わないと寂しいよ」
もうバイト辞めようかな
この子にそんな顔させなくないしな
「この病院のコンビニでバイトしてよ〜それなら毎日買いに行くもん」
「ちょっと本気で考えさせて」
満桜からそんなこと言われるなんて思ってもなかったもうやめてそこで働こう!
「ええええ!もうそうして!!俺先生に言っとくから!」
そうします!!
「ありがとう満桜毎日会えるねぇ」
「ほんとに嬉しいよリナちゃん!!」
「てか毎日買いに行くってあんたお金もってないでしょ」
「あ、バレた」
「近くでずっと見てようと思ったの」
「それを世間ではストーカーと言います」
「リナちゃんのストーカーになる」
「可愛いっ特別に許します」
満桜の頬を持ってムギュってした
なんでこんなに可愛いんだ
「あ!帰らないと満桜!!やばいよ!!」
「うわぁ4時50分じゃん!全速力でお願い!!」
「任して!」
私は焦りすぎて満桜をお姫様抱っこして病室に帰ってきた
さすがに焦りすぎた
「リナちゃん俺ってそんなに軽いかな」
「違う違う!焦りすぎて普通にミスった」
「ううぅぅ俺ほんとに男だよね??外にいた人皆こっちみてたよっ女の子が男の子お姫様抱っこしてるの異常すぎて」
「そっか車椅っあ!!やばい車椅子忘れてきた!!」
「リナちゃん!?」
私と満桜は目を見て笑いあった
こんな日常がすごく楽しい。ずっと続けばいいのに
初めて人を好きになってその人と付き合えてこんなに幸せになっていいのかな
いつか終わりは必ず来る
だけど今は幸せに溺れていたい
後日私は満桜の病院のコンビニで働くことが決まった。
それから満桜は私が出勤の度に私に会いに来てくれる。
お客さんがいない時は話をして、時には話しすぎて一緒に怒られたりもして
バイトをここにしたおかげで満桜にほぼ毎日会えてすごく幸せ
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