第3話 秘密の時間

翌日、病室の窓から外を見たら、また河川敷に誰かがいた。

寝転がって、空を見てる。


満桜だった。


私はこっそりと、また病院を抜け出した。

昨日よりは慎重に、そして胸に手を当てながら、ゆっくりと歩いた。


「また来たんだ」


「またいたねぇおはよリナちゃん」


その日は、昨日よりちょっとだけ長く喋った。

他愛もない話。

好きな食べ物とか、入院食がまずいとか。

どれもくだらなくて、どうでもいい話。


でも、その時間が、とても大切に思えた。


しばらくして、満桜が慌てて時計を見て立ち上がる。


「やば、看護師さんに怒られる。探されてるかも」


「帰んないとね」


「その前に――携帯……あ、忘れた。最悪」


「なにそれ」


「だから、明日もまたここで。リナちゃん明日も来てくれるでしょ?」


ずるいなぁこの子は

正直名前しか知らないのになんでか引き込まれる

年齢もどこに住んでるのかも分からないのに



えくぼを浮かべて笑うその顔に、私は少しだけドキッとした。

だけど、自分の胸がバクバクしてるのは病気のせい――そう言い聞かせた。

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