2-3
王太子改め、次期ウェストリン国王エドワードは、つい数刻前までの壮絶な戦いぶりを微塵も感じさせない、太陽のように明るい笑みを浮かべた。艶やかな黒髪に深い青い目を輝かせる、新国王という広告塔として申し分ない美丈夫で、その姿だけで国民の信頼を半分以上は勝ち取ったも同然だろう。バージルは気を取りなおし、表情をひきしめた。
「戴冠式はできるだけ早く行いましょう。正式な国王が不在のままでは、他国につけいる隙を与えてしまいます」
「そうそう。新しい国王陛下がお披露目されれば、国民も少しは安心するんじゃないかな。ほら、パレードとかやってさ。兄上の華々しい姿を見たら、みんな未来に希望を持てるよきっと」
バージルの進言に、隣のマイヤーも賛同する。二人の考えに、エドワードも異論はないようだ。
「まあ警備が難しいだろうから、パレードはやめておこう。即位後すぐに凶弾に倒れた、なんて結末は笑えないだろう?」
エドワードの軽口めいた指摘に、バージルは当然とばかり後を続けた。
「しばらくは警戒を怠らないほうがいいでしょう。兄上の即位後の体制については、計画通り準備を進めてますが、外敵は確実に存在します」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます