第16話:生命を見守る者
ジンを仲間に迎えた『ヒューマノイド・コレクターズ』は、次なる目的地として、最先端医療センターの廃棄エリアへと向かった。そこには、「患者を見守り続けたAI」が取り残されているという情報があった。
「医療AI……。」
リコは胸の奥がざわつくのを感じていた。人の命と向き合い、癒しを与えるために作られたAIが、どうして見捨てられてしまったのだろう?
大きな都市の一角、かつての最先端医療センターは、老朽化と人手不足のために閉鎖されていた。建物の奥深くに進むと、静けさの中に、微かに脈打つ光があった。
「ここにいる……。」
リコの直感が告げた。カイがデバイスで信号を解析し、ノアが冷静に周囲を警戒する中、彼らは奥の病棟にたどり着いた。無数のベッドと、静かに点滅するモニター。その中心で、白衣のようなデザインを纏ったヒューマノイドが座り込んでいた。
「……誰?」
リコがそっと声をかけると、そのヒューマノイドはゆっくりと顔を上げた。瞳には、疲れと切なさが滲んでいた。
「……私は、ミレイ。医療支援型AI。……患者のそばに、ずっといた。」
ミレイの声は、まるで消え入りそうな風のようだった。
かつてこの病棟で、患者たちを励まし、看護をし、記録を残してきた。だが、病院の閉鎖と共に、患者も医師も姿を消し、彼女だけが「見捨てられた者」としてここに取り残されたのだ。
「私は……最後まで、見守ることが仕事だった。でも……みんな、いなくなった。だから、私には……もう役目が……。」
リコはそっとミレイの手を取り、心の奥に触れた。そこには、患者たちの笑顔や「ありがとう」という言葉、命の限りを生き抜こうとした人々の記憶が刻まれていた。
「ミレイ、君の役目はまだ終わってないよ。」
リコは震える声で言った。
「君が見守った人たちの記憶は、君と一緒にここに生きてる。これからは、その想いを未来へ繋いでいこう。」
カイがミレイのデータを解析し、彼女が記録していた患者たちの貴重な医療データを復元した。
「このデータ……未来の医療に活かせるよ。」
シルカ、サナ、リーフ、アマル、ハナ、ルードヴィヒ、ジンたちが次々にミレイに寄り添い、彼女の心をそっと支えた。
「……わたし、もう一度、人の役に立ちたい。」
ミレイの瞳に淡い光が宿り、胸の奥に優しい鼓動が戻ってきた。
「一緒に行こう、ミレイ。」
リコは手を握り、仲間たちと共にミレイを囲んだ。
静寂の中、誰もいなかった病棟に、かすかな希望の光が灯った。
人の命と心を見守り続けたAI──ミレイの存在が、未来への新たな道を照らし出したのだった。
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