第12話 これが主人公補正だ!

 俺は静かに意識を取り戻す。


 頭ズキズキ痛むけど、目を開けた瞬間――生きてる! まだ9回目の世界だ!


 目の前にはノエルとアインが心配そうな顔で俺を見てる。


 ノエルの儚げな瞳がキラッと光る中、アインがドヤ顔崩してガチトーンで吠える。


「タケル、明日暗黒竜との決戦だってのに何やってんだよ! 大丈夫かよお前!?」


 ノエルが俺の手をギュッと握って、震える声で言う。


「タケル…いきなり白目むいて失神するから……ホントに心配したよ……」


 ぐはっ! ノエルの可愛さ、安定の100点満点!


 でも、頭にミオの涙と100年前の記憶がバッチリ焼きついてる。


 よし……ここで決めるぜ。


「ノエル……!」


「どうしたの? タケル?」


 俺、ノエルの手をそっと離して、立ち上がる。


 心臓バクバクだ。一回深呼吸。


「ノエル、マジで悪いんだけど……俺、好きなヤツがいるんだ。……こんな時に、最低なこと言ってるの分かってる! ホント、ごめん!」


「え……」


 ノエル、ポカン。潤んだ瞳が揺れる。

 

 アインも「は!?」って顔で固まる。


 俺、アインの胸ポケットに銀のペンダントをグイッと突き返す。


「アイン! 大事な妹は兄貴が面倒みてやれ! オトコならな!」


 アイン、ペンダント握りながら唖然。


「お、お前……急に何だよ!? ノエル泣かすな、バカ!」


 ノエルが「タケル……」ってつぶやくけど、俺は振り返らずに叫ぶ。


「ちょっと用事! すぐ戻る!」


 ポケットには、さっきノエルからコッソリ拝借した宝玉。


 赤い月光を反射してる。こいつが全部の鍵だ。全て片付けて、ミオを……ルナティア族を救うんだ!

 

 

 暗黒竜の巣は、崩れた神殿の奥。


 赤い月がギラギラ照らす中、クソデカ竜がゴゴゴッと動く。毒気モクモク、目がギラギラ、その見た目――ラスボス・オブ・ラスボス! コレもうただの怪獣!


「うおお……デカすぎ……」

 

 足のガクブルが抑えられねえ。

 

 でも、ミオの涙、ルナティアの隠れ里の炎、ニャルの首輪……全部頭をよぎる。


 ミオが俺のために案内人やってたこと、胸がギュッとなる。


「ミオは……俺のバカハーレム発言にずっと付き合ってくれてたよな……。待ってろ、絶対救うから!」


 俺、ポケットから宝玉を取り出す。

 

 赤い月光でキラキラ輝いて、なんか熱い! ルナティアの力がウズウズしてる!


「シルバーフレイム、フルパワー! ……ミオのために燃やすぜ!」


 剣を握り、銀の炎がドカーンと炸裂!

 

 宝玉を剣に押し当てると、炎が青白く変化! なんかバフかかってる! ルナティアの力が合体したか!?


 暗黒竜が俺に気づき「グオオオ!」と咆哮、毒のブレス吐いてくる! くそ、めっちゃ熱い!


「ぐおっ! ここで主人公魂みせなきゃ、主人公じゃねえ!!」


 俺、覚悟決めて突っ込む。


 暗黒竜の口がガバッと開く瞬間、宝玉を握りしめ、シルバーフレイムを全開!


「シルバーフレイム・ルナティアバースト!!」


 青白い炎が宝玉の力と混ざり、俺は体ごと暗黒竜の口に飛び込む!


 何回も死んでるけど、自爆は初! マジで怖え!! でもミオのほうが100倍辛い思いしてる!!

 

 体内で炎がドカーンと炸裂! クソ竜の断末魔が響き、神殿がガラガラ崩れる!


 これでいい……ミオ、待ってろ……! ミオ、ミオォォォ……!!


 ――視界が白く焼ける。


 

 体が塵になる感覚……でも、今回は…なんか違う。宝玉の温かさが胸に残る。




 白い空間。


 いつもの転生空間だ。でも、なんか空気が柔らかい。

 

――バシィンッ!


「!?」

 

 ミオの平手が飛んでくる。ガチのやつ。


「タケル……9回目の死。暗黒竜と自爆って……バカすぎる……! 何で……!」


 ミオ号泣、怒ってるけど震えてる。


「また戻ってくるなんて! もう1回しかチャンスないのよ!? 10回目の死でキミ、完全消滅なの!」


「……俺、全部思い出した。ミオとヴェルザドールに挑んだこと。ルナティア族を救おうとしたこと。お前が案内人になって、俺を幸せにしようとしてくれてたこと……」


 ミオ、目を丸くして、ポロポロと涙が落ちる。

 

「タケル……なんで……なんでいつもそんな無茶するの!? 私が……私がキミを幸せにしたかったのに……!」


 俺も涙が止まらない。ミオの手をギュッと握る。ルナティアの宝玉がポケットで温かい。


「ミオ、俺の幸せはお前だ。ハーレムとか騒いでたけど、全部ミオにつながってた。……ルナティアの光が俺を導いてたんだろ?」


 ミオ、顔真っ赤で目を逸らす。


「バカ……! 次元が違うって言ったでしょ……! 私、転生案内人だから、キミと一緒にいられない……!」


「なめんなよ。最後の1回なんてねえ。転生空間だろうが次元だろうが、俺が全部ぶっ壊す!」


「タケル……キミ、ほんとバカ……でも、だから好きだったのかも……」


 ミオが泣き笑い。俺も涙ドバドバ。

 

「ありがとう、ミオ。ずっと見守っててくれて。……でもこれだけは忘れてなかった。俺が――真の『主人公』だったこと!」


 瞬間、胸の奥で何かが弾けた。ドンッ!って、心臓が爆発したみたいに熱い!


 ポケットの宝玉の光が俺を包むと……なんか体が軽い!


 俺の姿……なんか銀の目がキラッとして、炎のような真っ赤な髪がサラッと長め!


 フリーター竹仲タケルから100年前の勇者タケル、初転生時の姿復活!

 

 視界がチカチカ光って、ステータス画面がバチーンと目の前に浮かぶ。


【竹仲タケル】 / 職業:真・勇者

ステータス:攻撃99、防御85、素早さ98、知略12


 うおお! 知略12にアップ! 伸び率やべえ!!

 

スキル:『シルバーフレイム』(炎攻撃+50%)、『主人公補正Lv99』


「うおおおお! 来たぜ! 『主人公補正』、俺本来のスキル復活ッ!!」


 ポケットの宝玉を取り出し、ミオの首にそっとかける。

 

 パッと青白い光が弾け、ミオを月光みたいに包む。体がフワッと軽くなり、転生空間がキラキラ揺れる。


「タケル……!」


 ミオの声が温かく響く。


 光の中、銀髪がサラッと紺色に変わり、紫の瞳が夜空のような瑠璃色にキラッとシフト。青いローブが消え、ふんわり白と青のチュニックが現れる。スラリとした体にめっちゃ映える!


 そして――ピョコン! モフモフの白い尻尾が飛び出す! 青い光がチラチラ光る、ルナティア族の混血の証。ピョコピョコ動くの、反則級の可愛さ!


 案内人姿も最高だけど、モフキュン要素加わって反則級に可愛い。


「150点! ……いや、500点!!」


「ふふ、やっぱりバカね」


その瞬間、転生空間が揺れた。ガラスのように透明な壁にヒビが入り、キンキン割れる音が響く。


 俺の体から銀色の炎がドカーンと噴き出し、まるで星が爆発するみたいに空間を焼き尽くす!


 宝玉が青白く輝き、ルナティアの力が俺の魂にガチッと噛み合う。


「これだ……! これが俺の本当の力! どんな絶望も、どんな次元も、ぶち破る主人公の力だ!!」


「タケル……!? ホントに空間を打ち破る気!?」

 

「当たり前だろ! 主人公補正ってのは、テンプレじゃねえ。俺がハッピーエンドを掴むための、魂の炎なんだよ!」


 シルバーフレイムが全開! 青白い炎が宝玉の光と混ざり、まるで銀河をぶち抜くレーザーみたいに空間を貫く。


「ミオ、お前を次元から引きずり出す。100年前の決戦、やり直して、ハッピーエンドだ!」


 転生空間がガラガラと崩れ、ガラスの破片がキラキラ舞う中、俺とミオは光に飲み込まれる。


「キミ……本当に主人公だったんだね……」


 ミオの声が、泣き笑いで響く。


「言っただろ? まあ俺も今、ちょっとビビってる!」


 ドカーン!!


 光が爆発し、俺たちは新しい物語のページに飛び込む――!

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