第5話 初めてのお人形さん①

 ――魔法少女や魔女には、それぞれ固有の魔法が存在する。分かりやすいものであれば、何もない空間から火や水を発生させたり、どれほどの重傷を負った怪我人でも癒してみたり。壊れた建物を瞬く間に元通りにしてみたり。

 そのどれもが、彼女達が現れる以前の常識を塗り替えてしまう代物だった。



 そして、めでたく(?)魔女になった僕にも魔法が発現した。魔法についての効果や、その使用方法を始めとして。魔法少女、妖精、魔女、悪魔に関連した知識が魔女になってから、いつの間にか脳に刻み込まれていた。

 その現象は、まるで転生したことを自覚した時のようだった。まあ、関係ないだろうが。



 しかし、魔女の傍には契約した悪魔がいるらしいのだが、あの黒猫悪魔の姿も一度も見ていない。いてもいなくても問題ないので、僕は魔女ライフをエンジョイするとしよう。



 ――話は逸れたが、僕の魔法について語る。魔法名は、『お人形遊び』。その効果は、『同意を得るか、屈服させた魔法少女や魔女を術者の使い魔にする』魔法。



 強いかどうかは横に置いておくとして、我ながら煩悩に爛れた魔法である。まともに魔女として活動していたら、魔法少女からだけではなく、同じ魔女からも敵視されかれない。



 だが、それはせっかくあの黒猫悪魔に後押ししてもらった僕の崇高なる願いを諦める理由にはならない。

 僕はたくさんの可愛い魔法少女を使い魔お人形さんにしていくぞ! 魔女は怖そうな子が多いので、基本的には避けるつもりである。



 けれど、この魔法には大きな欠点が一つ存在する。術者に魔法以外の攻撃手段がないせいで、一人目の使い魔お人形さんを確保するハードルがめっちゃ高いのだ。



 早速、欲望マシマシの魔女ライフに終止符が打たれるかと思ったが、駄目元で僕はある賭けに出ることにした。ギリギリに嘘にならない範囲で、『お人形遊び』の発動条件である『対象の同意を得る』という部分を達成できれば良いのだが――。



 ――そうして僕はある種の覚悟を決めて、当初の目標に定めた魔法少女のマジカルライトが立ち寄った『管理委員会』の近くの路地裏に潜伏。

 時間帯が夜になってしまったが、マジカルライトの帰宅ルートと思わしき場所に先回りし、今世の容姿を存分に活用して泣きながら探し物・・・をする幼女の演技。



「大丈夫? 何かあったの? お姉さんで良ければ、相談に乗るよ?」

「うう……困っていることがあるんです。『お人形さん』がなくなったの。助けてくれますか・・・・・・・・?」

うん・・いいよ・・・お姉さんに任せてよ・・・・・・・・・。私、これでも魔法少女なんだから」



 かなり無理やりな解釈どころか、こじつけに近い難癖だが、マジカルライトから僕の『お人形さん』使い魔になってもいいと承諾をもらった。

 という風に、僕の魔法は解釈した。同時に、この成功はマジカルライトが思った以上に消耗していたことが関係しているようだ。

 今後も同じような手段を取るとしたら、やはり対象がかなり弱っている必要があると感覚で分かる。有り体に言えば、初回サービスみたいなものだろうか。



(――それなら、相手を僕の手で弄んでからお人形にする方がお得だよね。うん。今後はそうしよう。……まあ、今は目の前の相手に集中しないと。――『お人形遊び』)



 一応、お礼を告げておくのも忘れない。



「――お姉さん。僕のお人形さんになってくれて・・・・・・・・・・・・・・ありがとう・・・・・!」

「――え?」



 マジカルライトが意識を失ったようで、地面に倒れ込む。



 『お人形遊び』が正常に(?)発動して、僕の魔力がマジカルライトの体に絡みつき、浸透していく。彼女の体を最適なものに、僕の『お人形さん』使い魔に作り変えていく。



「ふう……何とか最初の難関はクリアしたよ。僕の魔法の効果の確認もできたしね。よし、この子をお持ち帰りしたら、早速お楽しみタイム!」



 マジカルライトが今まさに新生しようとしている瞬間に。僕が達成感に浸っている時に。割って入ってくる無粋な奴がいた。



「――どうしたの、マジカルライト!? 君っ!? 私の契約者にいったい何をしたのっ!?」



 声の方に視線を向けてみれば、そこには掌サイズで羽の生えた少女がいた。

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