ハチミツだった

夏目知佳

ハチミツだった

引っ掻いて困らせたかった言い訳をどれだけ思いつけたかが愛情




冬眠するつもりで冷やした部屋のなか変わらないんだ噛み癖だけは




絡ませた先から香るハチミツの甘ったるさはお前のせいだよ




おざなりなB級映画流しみてキスするだけで泣けてくるから




横並び放置されたくまとなりただただ願ういつもの退屈




きっとまたを繰り返しいつかまたでいい含め名前にしようか




いいんだ正しさなんてはじめから分かっていたからこその熱病




いつになく瞬く目の奥曖昧でここじゃなければあたしじゃなければ




神聖さなど怖くないよかみさま練習したんだ眠りの作法を




愛という形を奥歯でかみ砕き目覚めてとなりに君がいたこと






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ハチミツだった 夏目知佳 @natsume10

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