いい知らせと悪い知らせ。悪い方

「皆さん、聴いてください」


ガヤガヤ


「静かにしてください。ここは中学校です。高校の前段階なんです。3年後には受験なんですよ!

私は山口 里実です。1年3組の担任です。じゃあ、早速、自己紹介していきましょう。名前、好きな食べ物と、好きなことで行こっか。じゃあ、一番 青木 咲さんお願いします。」


別に興味ない。こんな幼稚な人と絡む意味がない。無知な人と付き合って傷つくのは自分。


でも、ここは学校。

やるつもりがなくても、やらないといけないことがある。

社会とはめんどくさいけど、生きるためには必要である。

なんともめんどくさい。


「よろしくお願いします」


はー。もう、私の番。

サ行って真ん中のイメージあるけど、皆少しか喋らないからすぐ回ってくる。


「名前は城崎 ここね。

好きな食べ物は卵料理で歌が好き」


指示されたことを言って、席に座る。

一様、地声より高めで、適当に言う。

そのまま、挨拶があって、休み時間になった。



このあと、教科書をもらったら帰るみたい。

話しかけられたくもないから、机に突っ伏して、寝たふりをする。

寝るには教室がうるさすぎる。


それに、万が一何かが飛んできたら困る。

小学校の経験で学んだ。

いやというほどにね。


「ねえー。ここねちゃーん?」


ぼーっと考えていたら、聞き慣れた、甘ったるい声。

無視してたら。


「ここねのくせして無視?

そうだ、光ちゃん、こいつ便利だよ。

金さえ出せばなんでもしてくれるんだよー。宿題とか」


そのせいで、人の筆記を真似るのが上手くなるといういらない特技を覚えた。

使うとしたら、がちな話犯罪程度だろう。


まあ、いじめられる具合がマシになるから良いのだけれど。

まあ、水かけとかそういう系統が減るだけで負担が減る。

夏はいいけど、冬とかそれこそ風邪をひく。


「へー。そんな、いいおもちゃなの?」


聞いたことのない声。

多分、もう一つの小学校出身なのだろう。


「じゃあさ、はい。これで、教科書全部持ちなよ」


寝るふりをやめて、起きる。


「そうやって起きてさー。保身なんて醜いー」


バカだ。知ったばかりの言葉を使いたい幼児と何も変わらない。

いじめをしている方が何倍も醜いと思う、自分はおかしいのだろうか。


けど、どっちにしろこのいじめは続くらしい。

先生がどういうタイプか確認しないと。

真面目な先生なら隠さないと。


小4の時、初めて真面目な先生に当たり対処しようと頑張ってくれた。

結果、先生は病んでやめた。

別に、先生なんてどうでもいい。


だけど、自分にかかる被害が変わらないのに助けないのは、あの醜いものと同じなようで嫌だから。

真面目なら隠さないといけない。



その後、追加は何もなく、さっさと帰っていつも通り活動した。

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