第21話

「待てッ!!」


 対決を終えて化学実験室を出ようとするわたしたちを、生徒会の躑躅森つつじもりはるかが呼び止めた。


「……躑躅森先輩、まだ僕に何か?」


花屋はなや、貴様は一般生徒、それも一年でありながら、僕が選んだをギャンブル対決で打ち負かした。このままでは僕は、他の生徒会メンバーのいい笑いものだ!!」


「……はァ、それはどうもすみません」


 花屋は申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。


「謝罪はいらん。ただし、貴様にはこれからある男とギャンブルで戦って貰う。僕が受け持つ、もう一人のとなッ!!」


「……なるほど。リベンジマッチの申し出というわけですか。勿論、構いませんよ。その代わり躑躅森先輩、次の勝負はあなたにもそれ相応のものを賭けて戴きましょうか」


「……ふん、いいだろう。それで僕は何を賭ければいい?」


「そうですね。僕が勝ったら、躑躅森先輩が僕に付いて、僕をにしてください」


「……………………………………………………………………………………………………………………くッ、仕方あるまい」


 躑躅森は苦渋に満ちた表情で、絞り出すように何とかそう言った。


「…………吉高よしたかさん、僕が年上のお姉さんからモテるって話、やっぱりあれガセネタじゃないですかッ!!」


「……知らないよ、そんなの」


 わたしはそんな花屋に、呆れながら冷淡な突っ込みを入れるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る