【詩集】おもいたったら、すぐうたえ

櫻 恭史郎

第1話 風とゆく

風が、道をそれた。

雲も、道からそれる。


私だけ、のこされる。


みんな先へゆく。

だれも、こちらを見ない。


私は、みんなの顔を見ようとした。

足早にゆく、みんなの顔は見えない。


どこへ。


とおりすぎた人が言う。

道の先へ。


わたしは、風と雲のゆくえが気になる。


とおりすぎる人が言う。

よそ見をしてはいけない。

あなたの道をゆかねばならない。


なぜ。


風はきまぐれだから。


わたしは一歩ふみだす。

追い風が、背をおした。

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