蒼の師と転生姫 ―香と筆の宮廷絵巻―

米粉

第1章 白銀香殿と、三つ巴の後宮絵巻

🌸 キャラクター紹介(ネタバレあり)

◆主要人物

燈香姫とうかひめ

内大臣家の次女。十四歳。

香と筆に並外れた才を持つ少女。

運命に組み込まれ、姉を支えながら宮廷の渦に巻き込まれていく。

その瞳の奥には、まだ誰も知らぬ記憶が潜んでいる――。


「優しさで世界を包む、転生の灯」

誰かの痛みに気づき、静かに寄り添う強さ。彼女の“書”は、帝の心すらも動かすことになる。


華怜姫かれんひめ

燈香の姉であり、内大臣家の長女。十六歳。

都一の才色兼備とうたわれる香の継承者。政と恋、どちらも選べぬまま揺れながら、筆を取る決意をする。


「香に咲き、筆に恋した姫」

想いを閉じ込めることで美しくあろうとした姫。だがやがて、香と筆に導かれ、自らの言葉を紡ぎ始める。


◆蒼倉 硯清そうくら せきせい

左大臣家の遠縁にあたる少年。

筆と香において宮廷随一の才を持ち、筆師として東宮に仕える。

その正体は、かつての第一皇子・悠蓮の遺児であり、後に清蓮帝として即位する。


「筆で帝を描く者」

書によって政を動かし、香によって記憶を継ぐ。彼の筆が、帝都の未来を描き替えていく。


遥和東宮はるか とうぐう

帝の第二皇子。幼くして筆と和歌に並外れた才を見せる“神童”。

誠実で思慮深く、兄・蒼倉を慕いつつ、燈香に惹かれていく。


「言葉より先に、筆が走る天才」

感情よりも構造を先に読む彼の書は、冷静さの奥に熱を秘めている。

その不器用な恋心が、筆先に溶け込んでゆく。


◆内大臣家

兼雅かねまさ

燈香と華怜の父。内大臣家の現当主。

誠実な文化官として筆と香で出世したが、政の駒として白雪を迎える。


天然な愛されキャラながら、家族を誰よりも想う温かき父。時に優柔不断でありながら、政の場では静かに鋭さを見せる。


◆白雪のしらゆきの きみ

兼雅の正室であり、左大臣家出身の姫。

静かでおおらかな気質の持ち主。政の道具として嫁いだが、内大臣家で家族のぬくもりを知る。


“受け入れる強さ”を持った、現代的な優しさを纏う姫。香に秘めた想いを、静かに伝えてゆく。


俊遠としとお

前・内大臣。兼雅の父で、姉妹の祖父。

隠居の身となりながらも、家の背骨として政を見つめ続ける存在。


政においては冷徹、孫に対しては砂糖菓子のような甘さ。

常に和菓子を傍らに置く甘党であり、“香”の本質を誰よりも早く見抜いた男。


◆左大臣家

実房さねふさ

左大臣家の当主。政の中枢を担う無口な重鎮。

宵羽・紫鳳・白雪の父であり、帝や貴族たちをも動かす沈黙の策士。


香や文化を巧みに操り、未来すら演出する男。

娘たちを政の駒として扱いながらも、その幸せを“計算の上で”守ろうとする、非情な父性を抱える。


忠晴ただはる

実房の息子で、左大臣家の長男。

温厚かつ理知的な筆の名手。家を陰から支える縁の下の力持ち。


多くを語らず、必要な時にだけ筆を取る。

「言葉は静かに、意志は筆先に宿る」その姿勢が、左大臣家のもう一つの柱となっている。


◆右大臣家

藤嶺とうれい

右大臣家の当主。茜皇后と藤真の父。

政における穏健派として知られ、家族の未来を静かに見守る。


理と穏やかさを重んじる男。娘と孫を思いながらも、決して口出しせず、泰然と家を守る“重し”のような存在。


藤真とうま

藤嶺の息子。文官志望の青年。

礼儀正しく芸術肌で、姉・茜皇后を深く尊敬している。


いつか姉のように「言葉で誰かを救える人間」になることを夢見る、静かな努力家。


◆後宮と皇族

明澄帝めいちょうてい

現・帝。文化と筆を重んじる平和主義者。

寛容に見えるその微笑の裏に、空気を支配する“帝の眼”を持つ。


「癒しだけを選ぶ“ふり”をしている」

筆をもって帝都を保つ、“静かなる支配者”。


あおい皇太后

前・中宮。現・皇太后。俊遠の妹で、内大臣家出身。

後宮の均衡を“気配”で操る観察者。


何も語らず、ただ“香”を読むことで政の流れを見極める。

「見えないものを読む」ことに長けた後宮の影。


茜皇后あかねこうごう

右大臣家の長女。第一皇子の母。

悲しみを胸に秘めながらも、母としての誇りを貫く皇后。


息子を喪い、なお帝に愛される姿は、後宮の強さそのもの。

「愛とは、支えること」――その信念で東宮の選定を導く。


紫鳳中宮しほうちゅうぐう

左大臣家の次女。蒼倉の実母であり現・中宮。

香の記憶を静かに受け継ぎ、未来へと託す女帝。


「この香は、誰にも見えずとも届けばいい」

香の力を最も深く理解し、その記憶を息子に継がせる。


◆宵羽の女御よいはのにょうご

左大臣家の長女。遥和東宮の実母。

静かに皇子を育てる母であり、姉妹の中で最も控えめな存在。


選ばれなくとも変わらず愛し続ける――

その姿勢が遥和に深く影響を与えている。


高栄院こうえいいん

先帝。現在は上皇として隠居中。

政から退いた今も、その眼は未来の帝たちを見据えている。


「帝とは、静かに勝つ者」

最小限の動きで最大の結果を導く、盤上の支配者。


悠蓮東宮ゆうれんとうぐう

明澄帝の兄で、夭折した第一皇子。

香と筆に深い理解を持ち、帝位に最も近いとされたが、若くして世を去る。


「帝にならなかった、もう一人の帝」

その死は政の均衡を崩し、香の記憶に深く刻まれる。

息子・蒼倉へと繋がる“香の軌跡”が、物語の核心を揺らし続ける。


彰皇子あきらおうじ

茜皇后の息子で、数か月も経たないうちに夭折した第一皇子。

悠蓮東宮が亡くなったお香を誤って焚かれて亡くなった。



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