第38話 社畜女、バイコーンの角を獲る②(アイシャ編・エピローグ)
討伐当日。
弓が得意なリオくん、アイシャと他のメンバーの連携プレーのおかげで
無事、
あとはこれをギルドに持って行って査定して、報酬をもらうだけ。
毛皮は冬に備えた防寒着の素材に、肉は即座に料理に使うものの他に、乾燥させて干し肉や腸詰めにするそうだ。
そして滞在最終日の朝。
セレネさんに
「皆さん、いっぱい食べてくださいね」
大きめに切ったにんじんやじゃがいも、すいとんのように千切られた小麦粉の団子、そして大きい
酒と香草、塩に1時間漬け込んで、臭みを取った肉は噛むとすぐにほぐれるほど柔らかくて美味しかった。
いつものように傭兵団のメンバーもおかわりしていた。
……本当食事のことになると遠慮がないな、この人たち。
私は食後、セレネさんとアイシャとともに皿洗いしながら謝罪した。
「いやぁ……。よそ様のおうちですみません。あの人たちめっちゃ食べるんですよ。おかげでうちの傭兵団のエンゲル係数はカツカツで……」
「えんげる……?」
「ああ、いや……何でもありません。その……とりあえず、もの凄い燃費悪いんです。遠慮がなくてすみません」
そう言うと、セレネさんは笑った。
「うちはいつもアイシャちゃんと私、小さな赤ちゃんしかいないから逆に新鮮でした。賑やかで楽しかったです」
* * * * * *
そして……アイシャとの別れの時も近づく。
何をするにも無鉄砲で手は掛かる子どもだったけど、真面目で案外素直で……。
1週間とはいえ一緒におつかいに行ったり、薬草を採取したり、同じ部屋で寝泊まりした身としてはやっぱり離れると寂しいものだった。
「ばいばい……。アイシャ」
「なんであんたが一番泣いてるんだ……。てか鼻水垂れてるぞ。汚ねーな」
アイシャ一家が見送ってくれた時に、私は泣いてしまった。
アイシャは呆れて、袖で私の涙を拭う。
「あとそうだ、エマ。これはうちの住所な。さっきエマとヨセフが言ってたろ。アタシも
「住所書いた紙ね。ブレスレットもありがとう」
アイシャは茶色い紙に住所を書いたものと通信機代わりのブレスレットを私に渡す。
分け前は後日、ギルドの使いがアイシャの家に送金する手筈だ。
「アイシャ、ちょっと来て」
私とアイシャの話が終わった後で、ヨセフ様がアイシャを手招く。
そして、セレネさんに聞こえないように配慮してアイシャに何かを渡した。
「家からくすねてギルド登録料に使った100ベガ(日本円換算10000円)、セレネさんにちゃんと返せよ」
ヨセフ様が渡したものは、アスター王国金貨だった。
「え!?いいよ……。アタシが責任もって自分で働いて
アイシャはあたふたして、金貨を返そうとする。
ヨセフ様はそれを突き返した。
「いいから。餞別な。こういうのは素直に持っておけ」
そうして、アイシャの手に金貨を握らせた。
「それじゃあ皆、出発しようか」
ヨセフ様は皆に声をかけた。
「じゃあね、アイシャとセレネさん……あと、あの小さな赤ちゃんも!またいつか会いましょうねー!」
私は手を振りながら、アイシャ一家に叫んだ。
彼女たちは私たちが見えなくなるまで見守っていた。
──無鉄砲だけど根の優しいあの少女は、思春期を経て、きっと家族を立派に支える女性になるだろう。
あの一家に、幸あれ──!
続く…
* * * * * *
ここまで読んでいただいてありがとうございました!
「カドカワBOOKS10周年記念長編コンテスト」に応募しております。
もしお気に召しましたら、★や♡、感想、小説のフォローなどお待ちしております。
※どこの小説の感想欄でもそうですが、AIや速読ツールでの自動生成コメント・小説に関係ない話題はやめてください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます