魔王の執事の俺、日本に転生したらポンコツドスケベ魔王と変態勇者が俺の嫁争奪戦を始めて理性と貞操が今日もピンチです。
ファッション@スカリー
第1話 夢…のちに魔王(爆乳)襲来
世界が終焉の炎に包まれていた——
目に映るすべてが焼け落ち怒号と悲鳴が遠くからこだまする。
地獄と化した王城で、私は崩壊した玉座の前に膝をつき一人の女性を抱きかかえると、その最期に寄り添っていた。
その女性はダークエルフの長であり、一国を統べる魔王──ルーナ様である。
あまりに気高く、美しく、そして愛らしかった方。
私はそのルーナ様に愚かにも恋をしていた。
けれどそれは永遠に届かぬ恋。
主に恋するなど、執事の分際であってはならぬ感情だった。
だからこそ、今、この胸の想いも共に終わらせよう。
「ラ……ラインハルト……そこにいるのか?」
血に染まった唇から絞り出される今にも消え入りそうな声。
その一言に、胸の奥が張り裂けるような痛みに襲われ私はただ涙をこぼすことしかできなかった。
「もちろんです。私はいつもルーナ様の側に……」
「そうか……あまり目が見えんのだラインハルト……なあ……妾の近くへ寄ってくれんか?最後にそなたの顔が見たい……」
その細く繊細な指が私の頬をそっとなぞり、流れる涙をそっと拭う。
そして、ルーナ様は笑った——
「なんだ……泣いておるのか?魔族とあろうものが……お前に伝えたい事がある……耳をかせ……」
「………………」
言葉を発することもできない私に、ルーナ様は震える手で顔を引き寄せようとした。
その瞳はもう焦点を失い何も見えていないのかもしれない。
それでも私は彼女の想いを感じ、静かに顔を近づけると、指先がそっと私の唇に触れた。
そして次の瞬間——
彼女の柔らかな唇が私に重なり、時間が止まった。
永遠のようなその一秒がすべてだった。
「…………っ!?」
呆然と立ち尽くす私の視界でルーナ様はそっと唇を離す。
その名残を惜しむような動作のあと、かすかに震える声がまるで最後の想いを吐き出すかのように彼女の唇から零れる。
「こんな不甲斐ない妾に長く付き従えてくれて、感謝しているぞ……願わくば、輪廻の先でお前とまた、まみえることができたなら…………その時は……………」
その言葉を最後まで聞くことは叶わなかった。
私はただ『はい』と頷き、瞳から光が失われ、力をなくした身体をそっと抱きしめる。
まるで壊れ物を扱うように彼女の瞼を閉じ地に横たえた時、不意に私の頭越しにどこかためらいを含んだ声が届いた。
「逝ったか……」
その声の主は勇者カレン。
ルーナ様を討った張本人でありながら、私には一切の刃を向けず別れの時を与えてくれた慈悲深き勇者。
「人払いまでさせて……迷惑をかけたな、勇者よ」
「いいんだ、せめてもの情けだ……」
ふと視線を勇者に向けると、そこには虚ろな瞳と人形のように硬い表情があった。
そのまま、彼女はどこか遠くを見るような目で生気のない声を淡々と紡ぎ続けた。
「貴様らになんの恨みもない……しかし、これは王の命令なのだ……すまない」
「わかっている……お互い駒同士だ。私も恨まんさ……」
静寂を破るようにカチャリと剣に手をかける音が響く。
同時に炎の赤が揺れる中、勇者の頬を一筋の涙が伝い宝石のように輝きながら落ちていった。
「せめて、痛みなく一瞬で終わらせてやる……」
「ああ…………」
私は静かに頭を垂れた。
首を差し出しすべてを受け入れるように目を閉じる。
一瞬の永遠にも似た静寂。
そののちに聞こえた風を裂く鋭い音とともに、私の命は幕を下ろした——
————
ピピピピピピピピピッ
「………はっ!?」
スマホの耳障りなアラームが響き渡りおもむろに身体がビクリと跳ねる。
目を開けた先には書類だらけの雑多な机とPC。そして真っ暗な画面に映るのはそこそこの容姿を持った疲れた顔した青年。
どうやら私……いや、俺は前世の夢を見ていたみたいだ。
いまだに俺呼びには馴れず、日本の若者言葉に違和感を覚える自分がいる。
俺はラインハルト……ではなく今は
魔王ルーナ様の執事として生き、勇者の剣に
なんの説明もなく2年前に急に人間の身体を与えられ放り出されたから、最初の頃は本当に苦労した。
しかし、前世で俺が持っていた魔力と未来予知の力のおかげでどうにか今まで生き延びてきたのだ。
残念ながら今は魔力もほぼ底を付き、未来予知はまず使えないが……
魔法を駆使して住民票をゲットし、バイトをしながら生活資金を稼ぎ、you○ubeを見て若者言葉と文化を学び、未来を見て株とFXで一山当てた俺は一軒の小さな中古ビルを手に入れた。
今は1階をカフェ、2・3階を住居にして平穏な日常を過ごしている
そして4月初旬の桜舞う今日——
ついに俺のカフェで常勤として働いてくれるアルバイト希望者との面接を控えている。
俺のカフェ〔オトロムンド〕の福利厚生の最大の特徴は共同寮付きであることだ。
と言っても、要は俺の住居の一部を貸す形になるのだが……
まあ、この寮付きという制度を導入した理由は決して経営戦略といった立派なものではない。
どちらかといえば……
あわよくば、可愛い同年代の女の子と一つ屋根の下で暮らし、恋をできたら……
そんな下心丸出しの極めて不純な動機によるものだった。
前世で100年以上にわたって叶わぬ恋を胸に秘め続けた俺にとって、
ようやく断ち切ったその感情を今へと繋げていくには、ある程度の荒療治が必要だったのだ。
しかも、最近気になる異性もできて今のところ人生は順調そのもの。
俺はふとスマホに目をやると、針はすでに15時40分を指していた。
「えっと……
独り言を呟きながら、俺は事務室兼自分の部屋を出る。
1階にあるカフェの裏口から中へ入り、いつもの四人掛けのテーブルに腰を下ろすと、面接にやってくるであろうその人をしばし静かに待つことにした。
数分後——
ふと店の入り口に視線を向けると、カフェの扉越しに人影がちらついているのが見えた。どうやらこちらの様子を窺っているらしい。
あっ……もしかして面接の子……?
そう思い席を立とうとしたその時、ドアがガチャリと押し開けられ、春風に舞う桜の花びらと共にひとりの来訪者がどこか遠慮がちに姿を現した。
「あの〜〜すいませ〜〜〜ん……えっと〜〜だれかいますかぁ〜〜〜?」
一瞬で店内の空気が変わった。
今までこっちの世界の誰からも感じたことのない、しかし確かに覚えのある微かな魔力の気配が店内を満たす。
そして、俺の視界にシンプルな白いワンピースを纏うその女性の姿が飛び込んできた瞬間、全身に鳥肌が走った。
腰まで届く漆黒の髪。切れ長の瞳に口元のほくろが妖艶さを添える気の強そうな美しい顔立ち。
肌は雪のように透き通り、細身の身体はまるで彫刻のように洗練されている。
そしてなにより、ワンピースに押し込められてもなお主張するスイカみたいな爆乳。
記憶の奥底に眠るその容姿に俺は思わず立ち上がり、震える声で言葉を絞り出していた。
「るっ………ルーナ様………………?」
俺の言葉にピクリと反応し、その女性は勢いよく振り向く。
そして視線がぶつかったその瞬間——
整った顔が一瞬だけ驚きに染まり、美しい瞳が静かに揺れるのが見えた。
「……………えっ?もしかして……この感覚……ラインハルト?」
本来なら知るはずもない前世の俺の名を口にするその女性は、手にしていた鞄を床に落としその場でぴたりと動きを止めた。
そして、同じように言葉も動きも失った俺を深い静寂が包み込む——
やがてその静寂を破ったのは彼女の方だった。
急に勢いよくこちらに駆け寄ってくると、躊躇いもなく俺へと身体ごと飛び込んできたのだ。
「ラインハルト!!ラインハルトでしょ!?ら゛いんはるどぉぉぉぉ!!う゛ぇ〜〜〜ん!!あいだがっだよぉぉぉぉぉ!!」
その瞬間はまるでスローモーションだった。
目の前で二つの巨大なおっぱいが宙に舞い、次の瞬間には俺の視界はおっぱいで埋め尽くされていた。フワフワぷるぷるの刺激が俺の脳のシナプスを焼き尽くす。
「うおっ!?ちょっ?!」
彼女の勢いあるダイブを支えきれずそのまま背後へ倒れ込んでしまう。
次いで、椅子やテーブルが一斉に倒れる音が店内に響き渡る。
その喧騒の中心にいた俺は、この瞬間こそが穏やかだった自分の人生を大きく転換させるきっかけとなるとは夢にも思わなかった——
次回:数百年の禁欲はエグいらしい、この人本当に魔王様?
気になる方は是非ブクマをお願いします!
**************************************
奥付
ぜひ「面白い」「続きが読みたい!」と思ってくださったら★★★とブックマーク、♡応援を頂けると最高に執筆の励みになります!お時間があれば是非お願いします!
新作も是非応援してください!
〜スレンダーなのに色々でっかい地味で気弱な中田さんをゲス彼から助けた俺は、全力で彼女を可愛くしてあげたい。〜
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます