第2話 要領の良い彼

 さっき落とした皿を自分で片付けて、なんとか婚礼を乗り切った。ブルーな気持ちのまま過ごす婚礼は、まるで晴れやかなパーティーにいる病人のようだっただろう。


 私は婚礼後、キッチンで皿を拭いていた。私は汚れが残っているといけないと思い、一枚拭いた後、もう一度拭き直し、2回拭いていた。


 私の几帳面で丁寧な性格が、プラスに出たと思い、私は、良いことだと思ってやっていたのだが……。


「紗希さん、この皿、アルコール消毒あるんで、このスプレーを吹きかけて拭けば、すぐ綺麗になりますよ」


 え? そこは、紗希さん、几帳面で丁寧ですね、じゃないの? なんでそんなにわざわざ私の仕事の揚げ足を取るの? 


 ――って、いやいや、誰も揚げ足なんか取っていない。単純にこっちの方が容量が良いと佳佑くんは教えてくれているのだ。


「は……はぁい」


 素直に佳佑くんに言われたことに従う私。そして、黙って皿を拭いていると、


「じゃあ、僕、フォークとナイフしまってます。紗希さんは、前室の飲み物の片付けを」


 佳佑くんの指示に従い、私は、全室へ行く。前日には、赤と白のシャンパンが置いてあった。これを、台車に乗せて、キッチンまで持って行く。


 私は、おぼんに乗ってあるシャンパンを台車に乗せ、4本あるシャンパンの瓶も同じ台車に乗せて、キッチンへ向かった。


 キッチンに着くと、佳佑くんが、ナイフとフォークを丁寧に引き出しにしまっていた。


 彼のことだから、他のバイトの人みたいに、ごちゃごちゃとしまうことはきっとないのだろう。


 私は、たまに、そのごちゃごちゃっぷりに困惑していたので、後で確認してみようと思っていた。すると、


「終わりました、紗希さん」


「え? もう?? 早くない?」


 私は、雑に引き出しにナイフとフォークをしまっていないか、念入りに確認してみると、とても綺麗に並んでいるナイフとフォークがそこにあった。


「これ、最初は方向を揃えて並べなくちゃならなくて、しまいずらいんですけど、数個まとめて並べていくと簡単に素早くしまうことができますね」


 佳佑くんがにこっと私に微笑みかける。私は、圭佑くんのその笑顔に癒されてしまいそうだった。


 婚礼中にかいた汗が一瞬で吹き飛んでしまうほどに、彼の笑顔は、キラッと輝いていてとても爽やかである。


「これで、今日の仕事は終わりですね。紗希さん、残ったパン、持ち帰って良いみたいですけど、持ち帰りますか?」


 キッチンのテーブルの上には大きなビニール袋に入った大量の小さいパンが置かれていた。


 バイトはこれを持ち帰って良い。私は佳佑くんに、そう言われ、パンを5つほど持って帰ることにした。佳佑くんも7つほど持ち帰っていた。


「はぁぁ〜。今日も勤務終了〜! 疲れたぁぁぁ」


 私の身体の力は一気に抜けていった。脱力ってやつだ。ホッと安心し、1人でこの日は駅まで歩いて帰り、家に着いたのは夜の9時だった。静かなこの夜が1番安心する。そう思い眠りに着いた。

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