第34話 白い薔薇に宝石 仏蘭西式軍隊

青空の下で 歩兵たちが訓練として最新式の大砲を打ち続ける

仏蘭西の軍隊を手本にした新しい軍隊(ニザーム・ジェディード)


「あれが新しい軍団なのですね セリム皇帝陛下 兄上」

興奮気味に目を輝かせて弟のマフムトが見ている


「ああ、そうだよ 素晴らしいだろう」「はい、兄上」


「‥あれが最新式ですか」「そうだよ ムスタファ皇子」

前皇帝の子供の一人 マフムト皇子の異母兄で

もう一人の皇子であるムスタファ皇子


「通商条約(カピレーション)を

長年 あのフランスとは結んでいるが‥物真似とは」

皇帝を脅かす程に力をつけた旧来のイエニッチエリに

地方の豪族アーヤンなどが強く反発していた


「…新しい皇帝が必要かも知れない 

昔と違い皇帝は弟などの他の後継者を処刑する事がなくなったが」


「そうだな 大昔ならば他の後継者になりうる者を家訓通りに処刑していたが」


不穏な空気が漂い始めている 

もちろん、皇帝セリム三世はそれらの動きには気がついてはいるのだが‥


「では、宮殿に戻るとしよう 後で本を読んであげるマフムト」「嬉しいです」

「ああ、ムスタファ皇子もどうだい?異国からの珍しい本だ」


「いえ、私は用事がありますので」「そうか」


ムスタファ皇子は立ち去り


そうして、いつも通りに

若き皇帝セリム三世とマフムト皇子はナクシデイル(エーメ)の元に


「お帰りなさいませ お帰りなさいマフムト」

美しいナクシデイル(エーメ)が微笑する。



「ただいま母上」「ふむ、私が贈ったダイヤにサファイアか とても良く似合うよ」


「本当に有難うございます でも本当に私が頂いても良かったのでしょうか?」


「仏蘭西の美しい白い薔薇 それが貴方だ ナクシデイル」「セレム皇帝陛下」


互いに恋をする者達 特有の表情をして見つめあう二人 

だが、決して一線を越える事は許されない 

ナクシデイル(エーメ)は前の皇帝の妃の一人だった者 

故に触れる事は…。


「皇帝でありながら 私が貴方に出来る事は‥いや、なんでもないよ」

「お菓子のロクサムなどがございます 

それにチャイにジャスミン、ミントのお茶も」


「頂こう それにマフムト皇子と共に本を読む事にしている ナクシデル?」

「はい、では私も聞かせてくださいませ」



 






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