第46話
とある荒野。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
2メル超えの重戦士セレーヌが強烈な《威圧》を放った。
「グモッ!?」
太さ1メル、体長10メルもの魔蟲——デスワームが前進を止めた。
その数三体。
すべてのデスワームが鎌首をもたげたまま硬直する。
いや、一番大きな一体が動き出した。
デスワームが狙うはセレーヌ。
「喰らいなさい――《
魔術師リリエットがセレーヌの後ろで氷の魔術を展開した。
ダン! ダン! ダン! ダン!
小さな氷の弾がリリエットの手から次々に撃ち出される。
「グモッ!グモッ!グモォォ!」
氷の弾は、動いていたデスワームへ次々と命中する。
弾は着弾と同時に潰れ、そのエネルギーが打撃となり、巨大な体を後退させた。
弓師イリスは目を閉じ、両手をダラリと下げたまま、深く息を吐いた。
「ふぅぅ……」
「い、イリスさん、まだですの!?」
「見えたし!」
イリスがカッと目を開くと、その瞳は白眼まで黒く染まっていた。
「行け――《影縫い》!!」
タタタッ!
一呼吸の間に放たれた数十もの矢が、軌道を急降下させ、デスワームの影に刺さる。
「ぐもっ!?」
デスワームが完全に動きを止める。
リリエットが魔術の放出を止め、地面にへたり込んだ。
「ハァハァ……後はお任せしましたわ、ヴォオラさん……」
「了解! 行くわよ!――《迅歩》!」
ヴィオラが大地を蹴り、弾けるよう移動すると、デスワームの真下で槍を構えた。
「魔槍術――《
ザンッ!
槍を横薙ぎに払うと、切っ先の軌跡から魔力の残滓が花びらのように舞い散ってゆく。
「グ……グモォォ……」
ズルッ……。
デスワームの胴に浮かんだ線を境に、その体がズレていき――
ゴシャッ
巨体の上半分が地面に落ち、湿った音を出した。
「やった! でも後二匹は……」
「ゔぃ、ヴィオラちゃん! も、も、もう無理ですぅ!」
セレーヌの放つ《威圧》が次第に弱くなっていき、止まっていたデスワーム二体が動き出した。
「私は魔力と気力が空っぽよ!」
「ウチもだし!」
「ふふふ、わたくしはとっくの昔に魔力切れで死にかけてますわ」
「「「「…………」」」」
4人は顔を見合わせると、頷き、せーので叫んだ。
「「「「助けて、レイヴァリア様ぁっ!!」」」」
「……仕方ないのう」
4人の前にパッと現れ、ヤレヤレと息を吐いたのは、レイヴァリアだった。
ただし、その姿はどう見ても大人の女性だ。
金色に輝く長い髪を靡かせ、レイヴァリアは疾走した。
ゴッ! ゴッ!
目に見えぬほどの蹴りとともに鈍い音が2つ聞こえると、デスワーム二体が吹っ飛び、30メルほど先に落下する。
「グモォォォォ!!」
デスワームは叫び、レイヴァリアを一目見ると、クルリと背を向けた。
ガガガと地面に頭から潜り、モコモコと土を盛り上がらせながら逃げ去っていく。
レイヴァリアは2つに分断されたデスワームをチラリと見て——。
「ようやく及第点といったところじゃな」
右手に纏った『気』を消し、後ろへ向き直った。
視線の先には地面に倒れ込みゼェゼェと息を荒げる『スノーレギンス』4人の姿があった。
「も、もうダメ……」
「ね、燃費悪すぎるし……」
「で、でも一匹は倒せました……」
「は、初めて倒せましたわね。でも、もう限界ですわ……」
「ふむ。どうにか形にはなってきたが、課題はやはり魔力量と魔力操作じゃな。
休んでる暇はないぞ――《魔力供給》」
レイヴァリアの手から光が放たれ、4人の体を包み込むと、底をついていた4人の魔力が一瞬で満タンとなった。
レイヴァリアはパンパンと手を叩きながら言った。
「ほれ、いつまで休んどる?
早く立たんと次が来るぞ?」
モコモコと盛り上がる土が、大地を揺るがしながら再び迫ってきていた。
その数5つ。
「「「「こここ、この悪魔ぁぁぁぁっ!!」」」」
4人は叫ぶと、飛び起きて、戦闘体制を取った。
「カカカカ、叫ぶ元気があるうちは、まだまだ大丈夫じゃ。
ほれ、がんばれがんばれ」
カカカという笑い声と、4人娘の悲鳴が、長く荒野に響き続けた。
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