第42話


16になった少女の名は、葵。


葵が全ての記憶を取り戻した時、俺は、自ら、太陽の光を浴び、消えるつもりだ。


そう思う俺と、葵を手放す気持ちがない自分に、何度も戸惑う。


だから、なるべく、葵に会わない。


同じ白い洋館に住んでいても、会いには行かない。


葵の事は、全て永遠に任せてある。


名を知りたいと言う葵。


白い洋館を、出て行く葵。


その度に、記憶を消す俺。



俺は、何がしたいんだ?


無駄に、生きているだけではないのか?



そう思うのに、まだ見ていたい。


葵が、成長する姿を……


意識を無くした葵の身体を抱き上げ、白い洋館へと足を進める。


日が昇る前に……

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