第14話


琥珀の言葉に答えずに、再び瞼を閉じる。 


聞こえてくるのは、ドクドクと鳴る琥珀の心臓の音。



「君は、何も分かっていない」



琥珀は、そう言った後、私の身体から離れ、ベッドから出た。


私が瞼を開けるのと、琥珀がドアノブに手をかけたのは、同時だった。



分かっていないのは、琥珀の方。



そう思う私とは違い、琥珀はドアを開けて部屋から出て行った。



何の意味があって、私の部屋に来て、そして私を抱きしめ、ベッドにいたのか分からない。



中途半端な優しさなんて、私はいらない。



私と琥珀の気持ちは、平行線のまま……


交わる事なんて、この先も……ない。



ふと、右側を見ると、私の腕には、点滴の針が刺さっていた。


点滴スタンドに、かけられた点滴の意味が、分からない。



「琥珀が、心配してるぞ」



そう言って、部屋に入って来た永遠の手には、水が入った数本のペットボトルがある。


多分、冷蔵庫に補充しに来たんだと思い瞼を閉じた。



琥珀が私を心配しているとは思わない。



心配しているなら、私の傍にいて欲しい。



だけど、永遠にも私の気持ちを話すつもりはない。



「暫くは、安静だ」



永遠は、その言葉を言い残し、部屋を出て行った。


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