第15話


シーンとする部屋の中。


私は、何の為に此処で暮らしているの?


それが分からないから、私の頭の中にある疑問符は、いつまで経っても無限のループのまま。



私は……誰……?


私の名前は……?


此処に居る理由は……?



答えなんて、見つからない。


寝返りをうって、大きな窓から空を見る。



空を飛べたなら、違う世界が見えるのかも……?



そう思って見ても、空を飛べるなんて事は出来ない。


出来ない事を思ってみても意味がない。と思う私は、そっと静かに瞼を閉じた。



目の前に広がるのは……真っ赤な血の海。


それを見ながら、膝を抱えているのは……幼い時の私。



何故……?



幼い時の私だと言うのは分かるのに、真っ赤な血の海の意味が分からない。



これは……夢……?



なら、血の海の真ん中に横たわる人は……誰?



ヌメリとした感触がして、両手を目の前に持って行く。



『あぁぁぁ……』



言葉にならない声は、私の心の叫び。



夢じゃない……


私が忘れていた記憶。


そうだ。


私は……



そこで、我に返り、瞼を開けた。


私の目の前に、広がるのは、白い天井。



私は……



それ以上、思い出せない。


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