第8話


部屋から出ない私は、カゴの中にいる飛べない小鳥。


カゴの扉は、開いている。


だけど、カゴから出る勇気がない。


それは、余りにも、外の世界を知らなさすぎるから……



空を飛びたいと思う時は……ある。


自由に、飛んで行きたい気持ちも……ある。



そう思う私の気持ちを琥珀は知らない。


多分、永遠も知らない。



カゴと言う部屋から外に飛び出したら、何があるのだろう?



私の知らない外の世界……?



ふと、そんな風に思ったけど、知らない世界を知る事が怖い。


だから、私は、このカゴの中から、飛び出せないままだ。


窓際からベッドへと移動し、寝転ぶと頭の中に浮かぶのは、夢で見た塊。



あれは……?



時々、同じ夢を見るから、何故、そんな夢を見るのかが分からない。


だけど、あれは夢ではない。


ふと、そんな風に思えた。


私の記憶の奥にあるもの。


まるで、開けてはいけないパンドラの箱の様なもの。



開けてしまったら、後は後悔しか残らない。


開けてしまったら、私は此処に居る事が出来ない。


開けしまったら、私は私でいられなくなる。



そんな事まで思うのは、琥珀と会えなくなるのが怖いから……



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