第三章 魔導競技祭典〈マギア・フェルスタ〉
第40話 概要
「えっと……選手ですか?」
「えぇ。一年生だけで行われる、新人戦のメンバーに選ばれたのよ。
「いえ」
「じゃあ、軽く説明しましょうか」
「
名前からしてなんとなく想像はできるけど……。ただ、今は気になることがあった。
「あの質問いいでしょうか」
「もちろん」
「自分的に、技術班で採用されると思っていたのですが……本当に選手なんですか?」
俺はいまだに、選手として出場することを疑っていた。確かに体を動かすことは自信があるけど、一年生を代表するレベルなんだろうか。と自分では思っていたからだ。技術的なサポートをするのは、ある程度自信があるんだけど。
「今年はちょっと、魔術戦のルールが特殊なのよね〜」
「〈
「えぇ。軽く説明するけど、これは広大なフィールドに用意された五つのノードの制圧戦なの」
「ノード?」
「魔術的な封印がされたポイントのことね。それを解除しながら戦闘をする競技なんだけど──
「解除ってことは……もしかして、技術的な要素が必要になるってことですか?」
「そう。だから、あなたが選ばれたのよ」
「なるほど」
広大なフィールドで三対三で行われる魔術戦──〈
きっと、一人は解除にまわって残り二人でサポートとか? 他にも色々な戦略が考えられそうだぁと俺は既に考え始めていた。
「近いうちにチームメンバーとの顔合わせがあるわ。それと、自分の出場競技以外もある程度把握しておくといいわ」
「分かりました。わざわざ丁寧にありがとうございます!」
俺は頭を下げて、先生の部屋を後にした。
〈
昼休み。俺はフィオとティアの二人に今回の件を伝えることにした。
「え……!? アレンくん、選手なんですか!? 凄いですね!」
「そうかな?」
「えぇ。魔術戦は毎年、花形の競技で一番盛り上がるんですよ!」
「そうなんだ……」
うーむ。本当に俺がそんな競技に出場して大丈夫なんだろうか。今は少しだけ心配の方が強かった。
「へぇ。アレンは魔術戦なのね」
「ティアはどうなの?」
「私は〈
「おぉ。なんかカッコ良さそうだね!」
「ふふ。まぁ、精一杯頑張ってみるわ」
ティアは〈
「私は技術班なので、いろいろとサポートしますよ! お二人とも頑張ってください!」
フィオは明るい声でそう言ってくれた。
正直なところ、俺自身も本当は技術班で裏方のサポートに回りたい気持ちがあった。だが、それはもう叶わない。選手に選ばれた以上、その責務を果たさなければならない。
放課後。さっそく〈
「やはり、アレンも選ばれていたか」
「ってことは、ロイドも新人戦の選手に?」
「あぁ。改めて、よろしく頼む」
「うん」
俺たちは軽く握手を交わした。
ふぅ──とりあえず、知っている顔が一人でもいるのは心強い。そう思っていると、演習場に微かな足音が響いてきた。
やがて視界に入ったのは一人の女子生徒。真っ黒で艶やかな長髪を風に揺らしながら、凛とした足取りでこちらへと近づいてくる。その雰囲気は静かに研ぎ澄まされ、鋭い視線が周囲を切り裂くようだった。
「──あんたたちが、新人戦のメンバー?」
値踏みするような眼差しと、冷え切った声色。瞬間、場の空気が張り詰め、肌に刺すような緊張が走った。
「ロイドは分かるにしても、これ誰?」
「えっと。アレンと言います」
「アレン? 知らないわね。本当にこんなので大丈夫なの?」
す、すごい辛辣だ……。
下層者だからとか、そういう偏見とは無関係に、ただ純粋に厳しい視線を突きつけられている。その冷ややかな雰囲気に思わず背筋が強張った。どこか……怒った時のエレナさんを思い出させる。
「サクラノミヤ、あまりアレンを威圧するな」
「あら? あなたが誰かを庇うなんて珍しいわね」
「アレンは俺よりも強い。選手として選ばれるのは当然だ」
「へぇ……あの傲慢なロイドが認めるやつなんだ。面白いわねぇ……」
サクラノミヤさん? は俺のことをじっと見つめてくる。
「サクラノミヤさん……えっと──」
「アオイでいいわ。私、家名って嫌いだから」
「じゃあ、アオイさん」
「さんもいらないし、敬語もなし。無駄なことにリソースを割く必要はないわ」
「……」
俺は改めて意識を切り替えて、アオイに話しかける。
「こほん。アオイ。俺も選手として選ばれたからには、ちゃんと役目は果たすよ」
「へぇ。アレンって言ったわね。じゃあ──ちょっと模擬戦でもしましょうよ。本当に選手に相応しいか、私がみてあげる」
「えっ……?」
ということで、俺は唐突にアオイと模擬戦をすることになった。
う、うーん。この調子で新人戦は大丈夫なのかなぁ……?
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