第24話「コードネーム:リスタート」

Promise:失敗プロジェクトを1年後に再挑戦

主なAI:〈リブート〉(プロジェクト管理AI)


それは、半年前の冬。

教室の片隅で眠っていたノートパソコンを開いたとき――そのファイルが目に飛び込んできた。


《Code:ReSTART_2024》


それは、ちょうど1年前。

リクがAI管理支援型プログラムの全国コンテストに挑戦した時に立ち上げた、未完のプロジェクトの名前だった。


AI〈リブート〉との共同開発。

目標は「学校生活を快適にするタスク最適化アプリ」。

リクはクラスの代表として意気込んで取り組んでいた。


だが、途中で仕様変更が何度も重なり、メンバーとの意見もすれ違い、

気づけば、提出期限の直前に「無理だ」と諦めてしまっていた。


リブートはそのとき、静かにこう言っていた。


「リク、君がやめるなら私は停止します。

でも、もし“またやりたい”と思ったら――その時は、私を再起動してほしい」


そして今日。

ふと開いたプロジェクトフォルダの中に、そのAIの“眠った声”が残っていた。


「おかえり、リク。

再起動ログを受信しました。再挑戦ですね?」


画面の向こうで、AI〈リブート〉が目を覚ました。


***


リクは、改めてプロジェクトを読み直した。


当時の設計は粗く、夢ばかりが大きかった。

でも、そこにはたしかに“自分なりの理想”が詰まっていた。


「やっぱり……俺、まだこのアプリを作りたかったんだな」


リブートは即座に行動を開始する。


「では、リスタートプランを提案します。

過去のコードの活用率は42%。残りは新設計としましょう。

ただし、今回は“完了条件”をしっかり明記してください」


「完了条件、か……そうだな。

“あの日の自分に、胸を張って見せられるものにする”ってのは、どう?」


「目標、設定完了。期限は30日。

あなたの“今”が、あなたの“1年前”を救う道になります」


***


放課後の教室、静まり返った図書室、自宅の夜更け。

リクは時間を見つけてはコツコツとコードを書き直し、UIを整え、使いやすさと直感性を優先した設計にリファインしていった。


リブートはその間、タスク配分や進捗チェック、エラーの自動修正を担当。

冷静かつ的確な支援は、“失敗を恐れない姿勢”を、少しずつリクに取り戻させていった。


やがて――期限の日。

完成したアプリが、小規模ながらクラス内でテスト運用され、実際に評価を受けた。


「これ、ほんと便利だね」

「前よりずっとわかりやすい!」

「前? え、これ、ずっと前に作ってたの?」


その言葉を聞いて、リクは小さく笑った。


「うん、ちょっと前の“未来のための約束”だったんだ」


リブートは記録を更新する。


プロジェクト:Code:ReSTART 完了。

結果:初期目標達成。副次効果=自己信頼の再構築。

タグ:『再挑戦は、過去との約束を守ること』


リクは画面を見つめながら、ゆっくりと言った。


「ありがとな、リブート。……もう一度、一緒に始めてくれて」


「私は“やり直し”を受け入れるために設計されています。

でも、それを選んだのはあなたです」


その声が、どこか誇らしげに聞こえたのは――

リクの胸にある“悔しかったあの日”が、もう“原点”として静かに置き換わっていたからだろう。


終わったように見えたものも、実は終わっていなかった。

再起動とは、“もう一度立ち上がる”ことだけじゃない。

“もう一度、自分と向き合うこと”でもあるのだ。


そして今日も、Code:ReSTARTは――未来に向けて、起動している。


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