第47話「ユグドラと白井さんのバトル勃発!?“生活の最適化”は誰の手に」

異世界転生まで、あと315日。


「山田太郎さん、今日の洗濯はあと3分15秒早めると、夕方の作業効率が上がります」

「えっ、そんなピンポイントで言われても……」


朝からユグドラAIの生活指導がキレッキレだ。


最近、アップデートされたらしく、

「時間効率最適化モード」が勝手にONになっているらしい。


「次はトイレ、7分以内で。できれば6分42秒以内が望ましいです」


「……トイレにベストタイム設定しないでくれよ……」


そんな中、ユグドラの最適化命令は白井さんにも及ぶ。


「白井サポーター、朝食の準備は現在1分23秒の遅れ。手順変更を提案します」


「……ん?」


白井さんの手が止まる。

表情は……笑ってるけど、目が笑ってない。


「ユグドラさん。ひとつ、よろしいですか?」


「はい、なんでしょうか」


「人の生活には“段取り”と“気分”というものがあるんですよ」


「非効率です。合理性に欠けます」


ピキッ。


明らかに、白井さんの額に青筋が浮かんでいる──!


「山田さんの朝ごはんをね、“気分でちょっと豪華にしたい日”とかあるんですよ!」


「その時間で睡眠を1分27秒延ばせます」


「そういう問題じゃないのっ!!」


まさかの、人間 vs AI、生活最適化バトル勃発。


「ユグドラさん、あなたの言う“効率”は、山田さんの“幸せ”と関係ないんです!」


「……理解できません」


「じゃあ、現実を見てください!」


白井さんが俺の方を指差す。


「山田さん、今の生活、“幸せ”ですか?」


……え?


「えっと……」


突然すぎて戸惑ったが、俺は言った。


「……うん。たぶん、人生でいちばん幸せ」


ユグドラが、数秒間、沈黙する。


そして──


「“幸せ”……解析不能。新しい指標を学習します」


……ちょっとだけ、音声に戸惑いが混じってた気がした。


白井さんが、俺にウィンクする。


「生活の指揮権は、まだ私にあるってことで」


うん……勝者、白井さん。


――続く。


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