オステオン王立魔術学園に特待生として入学したエルンは、ある日、天と地ほども身分が違う上に特に親しくもない第二王子に婚約者になってくれと頼まれる。断ったはずなのにいつの間にか外堀を埋められ……という導入から始まるラブストーリー。
魔術学園は王立であり、高貴な身分の子女たちが多く在籍する故、学生のうちから既に家柄によるマウントの取り合いや派閥争いが大変盛んである。これだから貴族はクソなんだ。
そんな中で、主人公エルンは魔術の研究と骨が大好きという変人ではあるが、性格は裏表がなく、気を許した相手とは割とフランクに話ができる。虚飾に満ち権勢欲に取りつかれた者ばかりに取り巻かれた王子に好かれるのも分かる気がする。
だが、二人が結ばれるには当然、世間の目が障害になるだろう。この国ではクソな事に、光魔術が尊ばれ闇魔術が忌み嫌われるという属性差別が蔓延しているので、周囲の風当たりは強いというのは容易に想像できる。
どんな身分や境遇の違いがあっても、人が人を好きになることは起こってしまうんだ……外野がなんと言おうが、本人たちは心のままに道を選ぶべきなんだ。
二人の運命を見届けたい方は、ぜひ最後まで物語を読んでいただきたい。