『プリキュア・オブ・ザ・デッドシティ』

誰かの何かだったもの

――あたしら、笑顔で街をブッ壊す。

クロガネ市──ここは人間のクズしか住んでねぇ。

街は腐り、煙草の煙とママチャリが飛び交い、銃声のBGMに犬が吠える。

だが今日も、「彼女たち」は走る。

正義の名の下に、バール片手に。


「変身ッッ!!」

風間あげはが叫び、血まみれのスマホを天に掲げた。

画面には謎のアイコン《プリキュアZ》。

タップすると爆音でラップが流れ、煙と共に姿が変わる!


「ブチ上げていくぜ…!キュアブチアゲ、参☆上!」


後ろで火花が散る。誰かの車が爆破された。


「おいおい、変身シークエンスで1台燃やすのやめろや」

シメサバ──スナックで働く女子高生が、タバコを吹かしながら現れる。

「キュアシメサバ、今夜もフル回転…っとな」


最後に、壁をぶち破ってゴメスが乱入。

マチェーテ片手に「¡Vamos a matar, muchachas!」と叫びながら、敵を殴り倒す。


彼女たちは「プリキュア」──

だが、光の力ではない。

暴力と絆と、ブラックコーヒーで支配された“正義”。


「この街の笑顔?まず治安回復してから言えよな」

ブチアゲが、片目を腫らしながら言った。

「今日の敵は誰?」

「市役所の汚職議員だってよ」

「ぶっ飛ばそうぜ」


爆音バイクが鳴る。

街を照らすのは、ブルーライトではなく、パトカーのサイレン。

それでも彼女たちは叫ぶ。


「プリキュアは…止まらねぇ!!!」


バールを掲げて、走り出す。

笑顔のまま、街をブッ壊すために。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『プリキュア・オブ・ザ・デッドシティ』 誰かの何かだったもの @kotamushi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ