【双神を見極めて】

「えーと……ナーサティヤ神!」



「正解です。では今日の授業は──」



セフィーナ達が大学に入ると、アシュヴィン双神が降臨する回数も増して行き──

双神の名前を言ってから授業に移る事が日課になっていた。



「今日はここまでです。大学の勉強もしっかり頑張って下さいね。」



「はい。ありがとうございました。」



授業を終えた双神の前にはセフィーナの姿だけ。

人間であるマリアは医学の勉強に専念していた。



「マリアちゃんにも頑張れと伝えて下さいね。」



「はい。それじゃ失礼します。」



パタパタと駆けて行くセフィーナを見送り、どちらからともなく呟く。



「マリアちゃんにもいつか天界の知識を授けたいですね……。」



「でも彼女は人間ですから……。」



ははっと笑う双神。


弟子と認めたマリアが顔を出さなくなって数ヶ月。

何となく寂しさを感じてしまう。



「そうそう、セフィーナちゃんの記録、伸びましたね。」



「ええ。48連勝になりました。」



意図して寂しい話題から嬉しい話題に変える。



「もう区別がついているんでしょうか。」



「どうでしょうね……。」



48連勝とは双神の区別に正解した数である。



「やはり100連勝まで待ちますか?」



「そうですね……。百発百中と言いましたし……。」



そう言った後に、ふふっと笑う二人。



「当てられた時の嬉しさが堪りませんよね。」



「ええ。シャスタ神とリリィさん以外ではセフィーナちゃんだけですからね。」



シャスタはコンピュータ時代の名残で。

リリィは恩恵によって二人を見分けられる。


彼ら以外で二人を見分けようとしているのはセフィーナだけ。

他の神々は今や誰もしようとはしていない。


双子だからと、どちらもアシュヴィン双神と呼ばれるのは正直面白くないもので。

だから見分けてくれるシャスタには親近感があるし、セフィーナは愛顧してしまう。


彼女が大学を卒業し、正式な弟子入りをした時には……



「私達の知識の全てを伝授しましょうね。」



「ええ。私達の可愛い弟子に……。」



天界に来られないセフィーナの為に、自ら下界に降りて人間界の薬に関する知識を授け……

止まる事のないセフィーナの連勝記録に心の中で歓喜する。


そんな月日はどんどん流れて行き──



「正解です!おめでとう、セフィーナちゃん!」



「きゃーっ、やった!弟子入り決定ね!」



遂に100連勝を迎え、彼女の弟子入りは公認された。


既に弟子と認められている事には気づかぬまま、彼女は大学卒業を目指して勉強に励む。

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