レース本番!

【双神と馬車マラソン】

そして開催された馬車マラソン。



参加者は会場を一周してからコースへ向かい、戻って再び会場を一周してゴールとなる。


馬車は数分置きに出発し、コースを走る様子は巨大モニターに映し出されている。



迫力満点のレースは大いに盛り上がり、会場は大興奮に包まれた。


勿論この人も興奮している。



「行けーーっ、アシュヴィン双神ーーっ」



「シルビア、その名前で叫んじゃ駄目ですよ、」



「あっ、そうだった!頑張れナーサティヤさん!」



会場に戻って来たナーサティヤに声援を贈る。



「きゃあっ、やったわ!トップよトップ!」



現時点トップに躍り出たナーサティヤ。

客席からも歓声が上がっていた。



「まあ当然ですけどね。神獣が並みの馬に負けるなんてあり得ませんし。」



そう言ったシャスタがハッとする。



「シルビア……?神獣を使っての優勝は……不正になるんじゃ……」



「あ……」



サーッと青くなるシルビアの顔。



「やだっ、どうしよう!FLAGが不正なんて!」



この世の終わりのような顔でシャスタにすがりつく。



「お、落ち着いて下さい、何か考えますから、」



不正と認識した2人は気が気ではなかった。

正義の塊のような2人にとって、不正は許されない行為であり……



「どうしよう!どうしたら良い!?」



ガクガクと揺さぶられるシャスタは考えがまとまらない。



「寄付したらどうですか?」



ガルダが苦笑しながら助言した。



「寄付!?そうよ!そうしよ!?」



「そ、そうですね。あ、妨害の被害者にもお見舞い金として渡しましょうか。」



「う、うん、犯人はFLAGが引き取ったわけだし、そうした方が良いわよね、」



賞金の使い道が決まり、ほっと胸を撫で下ろす。

隣ではガルダがクスクス笑っていた。



「馬車マラソンは格闘大会とは違うんですね。」



「格闘大会……?」



何の事かと首を傾げるシルビア。



「あ……10年前の……」



気づいたシャスタが頬を掻く。

10年前と聞き、シルビアも思い出した。



「あ、はは、あの頃って……養育費とかFLAGの隊員達の給料とか……いろいろ必要だったから……」



女神になって間もなかった頃の事。

他の神々も参加していた為、不正という認識はなかったのだ。



「別に良いと思いますよ、私は。」



下界で人間と同じ生活をする為には必要な物だとガルダは言う。

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