【双神の弟子になりたい】

「何を治療するの!?」



その食いつきの意味を知った二人は、笑顔で用途を教えた。



「眠れない時にも効くんだ……。はちみつって凄いんだね。」



火傷やすり傷、口内炎やら便秘やら、美容にまで効くその効能に感心する。



「医師ならではですね。だからアシュヴィン双神は蜂蜜と結びついているわけですね。」



「そういう事です。あ、勿論そのまま嗜好品として食していただいても結構ですよ。」



「はは、私はそちらで使わせていただきます。ありがとうございました。」



瓶入りの蜂蜜を持ち、シャスタは屋敷の中へ戻って行った。



「はちみつが薬になるなんて知らなかったな……。もっと勉強しなくちゃ……。」



クマの容器に満たされて行く蜂蜜。

その様子を眺めながらセフィーナがつぶやいていた。



「セフィーナちゃん、医学に興味があるんですか?」



「医学……じゃなくて薬……?いろんな薬を作れるようになりたいの。」



アシュヴィン双神のように、不可能を可能にする薬を作りたい。

その薬で人々を救いたいとセフィーナは言う。



「じゃあ、たくさんの事を学んで薬の知識を身につけて下さいね。」



にっこり微笑む顔を見て、セフィーナが二人に頼み事をした。



「私を弟子にして下さい!」



その顔は真剣そのもの。

彼女の志は本物だった。



「弟子……ですか。私達の元で修業したいと?」



大きく頷くセフィーナ。



「師について学ぶという事は、その修業を終えるまで寝食を共にするという事です。」



「家族から離れて学ぶ覚悟はありますか?」



「え……学校みたいに通うんじゃないの……?」



首を振る双神。

彼らの国では、弟子は師に尽くす代価として知識を授かるのである。



覚えているだろうか。

ナンシーが天界で会ったシッディとブッディの事を。


彼女達はガネーシャの家に住み、あらゆる雑用をする対価として師匠ガネーシャから学びを得ていた。


※シッディとブッディの話は【神獣達のつぶやき】を御覧下さい



「私……天界に行けない……。」



行く事は許されておらず、それ以前に行き方が分からない。

だが、そんな事で弟子入りを諦めたくはなかった。



「お父さん達に話して来る!」



天界行きの許可を得ようと走り出す。

話を聞いたシヴァが怒鳴り込んで来るのは当然の事だった。



「お前らんとこに寝泊まりさせるわけねぇだろが!手離すかっつーの!」



「いや、弟子入り志願をしたのはセフィーナちゃんで……」



かくかくしかじかと説明する双神。

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