彼女たちの今そこにある危機 （生活シリーズ②）

登場人物

船橋の高校の教師たちと生徒達のおりなす群像劇、現代2025年千葉が舞台。

最近、高校生大学生の性感染症の蔓延や覚醒剤の密かな浸透がニュースでひっそりと話題になっています。しかし、ニュースを読んだだけでは、その実態がわからないことが多い。そして、「まさか自分が！」という「彼女たちの今そこにある危機」を感じられないのかもしれません。その「まさか自分が！」ということの当事者になってしまった「彼女たち」のお話です。

※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

登場人物

ꕤ パパ活編

🔴♀ 崎山美咲（さきやま みさき）

千葉県立船橋ＫＭ高校の生物の教師。誕生日は2001年8月15日（終戦記念日。私は敗戦記念日だと思っていますけどね）、血液型はAB型。出身地は長崎県で、酔うと長崎弁が出ます。千葉大学教育学部卒で、高校の指導科目は生物だが、物理化学部の顧問も務める。ショートカットにピアスを付け、ギャル風の見た目ですが、礼儀正しく生徒に丁寧に接するギャップが魅力。でも、やっぱり元ギャルです。24歳。

🔴♀ 伊達美代子（だて みよこ）

千葉県立船橋ＫＭ高校の三年生。誕生日は2008年2月14日（バレンタインデー生まれが少し恥ずかしい）、血液型はB型。出身地は千葉県船橋市で、地元っ子を自称しつつも「船橋って地味っちゃね」と愚痴る。ショートカットに少し茶色を入れた髪とマスクが特徴で、ギャル風の見た目だが小心者。家族に隠れてパパ活を始め、梅毒に感染し、生物教師・崎山美咲に助けられる。副生徒会長・佐藤美穂に誘われたのがきっかけで、彼女の裏の顔に驚きつつ断れなかった自分を悔やむ。学校では明るく振る舞うが、本音を隠しがち。17歳。

🔴♀ 野村玲奈（のむら れいな）

出身地は九州熊本。美咲と話す時は熊本弁が出る。伊達美代子の性感染症の主治医。千葉レディースクリニック勤務。美咲のパパ活撲滅に賛同し、パパ活をやっている佐藤美穂に性感染症、梅毒の恐ろしさを説明して、感染症検査を受けさせる役を買って出る。34歳。

🔴♀ 佐藤美穂（さとう みほ）

千葉県立船橋ＫＭ高校の三年生。誕生日は2007年11月30日、血液型はA型。出身地は千葉県千葉市で、埼玉や千葉の外房などと比較して「千葉市の方が都会やん」と少しお国自慢する。ストレートの黒髪と眼鏡で優等生の印象だが、裏垢でパパ活を楽しむ二面性を持つ。副生徒会長として生徒会を仕切り、教師や生徒に信頼されるが、ストレス発散で始めたパパ活で伊達美代子を誘う。美咲には好印象を与えているが、美代子の告白で秘密がバレる危機に。表裏のギャップに葛藤しつつ、完璧を求める性格。17歳。

🔴♀ 長尾遥香（ながお はるか）

千葉県立船橋ＫＭ高校の数学の教師。誕生日は2001年4月22日、血液型はAB型。出身地は長崎県で、美咲と同じ高校出身。酔うと長崎弁になります。千葉大学教育学部卒で、高校の指導科目は数学。勤務先は美咲と同じ。普段は柔らかい雰囲気ですが、授業ではテスト対策を緻密に計画する計算高い一面も。純粋さゆえに悪者になりきれない性格。元生徒会長の「良い子ちゃん」ですが、裏ではかなり腹黒い一面も。24歳。

🔴♀ 高橋彩花（たかはし あやか）、17歳。

🔴♀ 田中梨乃（たなか りの）、18歳。

🔴♀ 林優奈（はやし ゆうな）、18歳。

🔴♀ 森本葵（もりもと あおい）、17歳。

全員、千葉県立船橋ＫＭ高校の三年生。長尾遥香が伊達美代子の他にパパ活に誘った四名。LINEグループ「船橋P活ガールズ」で情報を共有。

⚫️♂ ケンさん

長尾遥香のパパ活の常連。身長は175センチほど、短髪に少し白髪が混じり、清潔感のある中年男性。長尾遥香だけではなく、伊達美代子と遥香がパパ活に誘った四名とも肉体関係がある。コンドームなしのセックスが基本。40歳くらい。

ꕤ 薬物中毒編

🔴♀ 所恭子（ところ きょうこ）

千葉県立船橋Ｈ高校の三年生。18歳。誕生日は2007年4月14日、血液型はB型。出身地は千葉県船橋市。ちんまりと可愛い顔をしている。身長153センチのチビの小悪魔のレズ。ファッションは、コスプレっぽい露出の多いファッションを好む。メイクは濃いめで髪型は前髪をかき上げた黒髪のロングヘア。どう見てもロリ系だ。

丸藤順子の子分で、順子から覚醒剤（スピード）を仕込んだグミを知り合いの合法JKに与えてヤク中にする。ヤク中に仕立てた女子高生を順子の知り合いの医者グループに紹介して売春をさせて、売春で得た金をヤクの代金としてまきあげている。

山下智子は中学校の同級生で、智子が間違って恭子の部屋にあったグミを食べてしまってヤク中にしてしまう。順子は山下智子を自分のの知り合いの医者グループに紹介して売春をさせようとするが、それを止めさせようとして…。丸藤順子の手下三人組のひとり。

🔴♀ 山下智子（やました ともこ）

千葉県立船橋ＫＭ高校の三年生。誕生日は2007年5月1日、血液型はO型。出身地は千葉県船橋市。千葉県立船橋ＫＭ高校３年生、18歳。身長165センチで高身長に悩んでいる。山下智子は中学校の同級生。恭子の家に遊びに行って、間違って恭子の部屋にあったグミを食べてしまってヤク中になってしまう。

🔴♀ 丸藤順子（まるふじ じゅんこ）

千葉県立船橋Ｈ高校の卒業生。誕生日は2005年6月21日、血液型はA型。プータロー。20歳。所恭子の先輩で、恭子に覚醒剤（スピード）を仕込んだグミを渡してヤク中に仕立て上げ、自分のの知り合いの医者グループに紹介して売春をさせてはその上前をヤクの代金としてまきあげている。

🔴♀ 村田敏子（むらた としこ）

千葉県立船橋Ｈ高校の三年生。身長170センチのノッポの天然ギャル。恭子にレズの相手をさせられて両刀使いになる。丸藤順子の手下三人組のひとり。敏子は170センチと高身長を気にして猫背でおどおどしている。

🔴♀ 佐藤恵美子（さとう えみこ）

千葉県立船橋Ｈ高校の三年生。身長160センチの平均的で可愛い顔のギャル。ガーリー系のファッションが好き、恵美子は三人組の中ではオシャレな方だ。赤のヨットパーカーに紺と白のツートンのスタジャン、ショートパンツに黒のレギンスというような格好を好む。丸藤順子の手下三人組のひとり。

⚫️♂ 瀬戸大翔（せと だいと）

千葉県立船橋ＫＭ高校の物理の教師。誕生日は2001年1月20日、血液型はA型。出身地は神奈川県横浜市（「なぜヨコハマだけ都道府県名で言わん！」と怒られます）。酔っても標準語です。千葉大学教育学部卒で、高校の指導科目は物理。勤務先は美咲と同じ。「生徒の世話」が趣味と自称する軽い雰囲気で、美咲に惹かれています。

※美咲と大翔はお互いに好意を持っていて付き合いたいと思いつつ、それを言い出せません。美咲の性格上、すぐ大翔に突っかかります。

⚫️♂ 川島悠馬（かわしま ゆうま）。誕生日は2001年6月30日、血液型はO型。千葉県立船橋ＫＭ高校の化学の教師。出身地は埼玉県で、酔っても標準語。千葉大学教育学部卒で、高校の指導科目は化学。勤務先は美咲と同じ。数学教師・長尾遥香と職員室で出会い、彼女の緻密さに惹かれます。真っ直ぐで真面目な性格です。

※遥香と悠馬も美咲と大翔と同じく、お互いに好意を持っていて付き合いたいと思いつつ、言い出せません。

⚫️♂ 幕田悠斗（まくた ゆうと）

千葉県立船橋ＫＭ高校の社会歴史の教師。誕生日は2001年11月5日、血液型はB型。出身地は地元千葉県で、酔っても標準語。千葉大学教育学部卒で、高校の指導科目は社会歴史。彩花と同じ文系で、勤務先は美咲と同じ。寡黙で感情表現が乏しく、生徒の名前を覚えるのが苦手。歴史部顧問で、船橋の歴史を熱く語ります。野球好きで、高校時代はキャッチャー。国語教師・福永彩花と図書室で資料整理中に仲良くなり、彼女の純粋さに惹かれます。熱血な平成野郎です。

※彩花と悠斗はお互いに好意を持っていて付き合いたいと思い、お付き合いをすぐ始めてしまいます。彩花の性格上、不思議ちゃんですから、躊躇しません。

序

　伊達美代子は船橋市の千葉県立船橋〇〇高校に通う17歳の高校2年生で、最近、自分の太ももの内側に赤い発疹が広がっていることに気づいた。最初は「汗疹かな」と軽く考えていたが、日に日に消えないその跡に不安が募った。彼女にはその原因で思いつくことがあった。

　鏡の前でスカートを捲り上げて見つめるたび、心臓が締め付けられるような感覚がした。彼女は誰にも言えず、夜遅くにベッドでスマホを手に持つ。指先が震えながら検索バーに打ち込んだのは「発疹 性病」。画面に映し出された「梅毒」の症状写真を見て、美代子は息を呑んだ。そこには彼女の肌と同じような赤い斑点が並んでいた。

「まさか、私が…？」

　美代子は目を閉じ、布団をかぶって現実を拒んだ。彼女は数ヶ月前から「パパ活」を始めていた。お小遣い欲しさと、どこかで感じる退屈な日常への反抗だった。相手はいつも優しく、危険なんて感じなかった。でも今、彼女の頭を埋め尽くすのは後悔と恐怖だ。「もしこれが本当なら…誰にも言えない。親にも、学校にも…」

　夜が明けるまで眠れず、枕に顔を埋めて嗚咽を漏らした。

　翌日、学校の授業中も上の空だった。ノートにペンを走らせるふりをしながら、頭の中では「どうすればいいか」を考え続けた。友だちの笑い声が遠くに聞こえ、自分だけが別の世界にいるようだった。昼休み、トイレの個室にこもって再びスマホを開く。AIチャットに「性病 検査 匿名」と打ち込むと、船橋市保健所やセルフ検査キットの情報が返ってきた。「匿名なら…バレないよね？」

　美代子は保健所に行く勇気が出なかった。人目につくかもしれないし、知り合いに会ったら終わりだ。そう考えると胸が締め付けられ、息が浅くなる。結局、「自宅でできる検査キット」が彼女にとって唯一の救いに思えた…