エレメント・シュラウド~最初から好感度MAXの爆乳クーデレポンコツ幼馴染と一緒に、未知の怪物相手に超絶無双します!~
リリック
第1章 壊れた世界《Broken world》
第1話 偽りの楽園
一五年前、世界中に流星が降り注いだ。
だが誰もが目を奪われた幻想的な流星は、世界に恐怖と絶望をもたらす
飛来した流星から出現した、高次元侵攻生物――“ティタネス”。
後にそう名付けられる怪物たちは、次々に世界の大都市を破壊し尽くした。
追い込まれた各国家は、世界連合を結成してティタネスに対抗するが、戦闘機、
文明と大陸を破壊された人類は、その生存域を急速に狭めていく。
絶望の時代の訪れ。
人類は敗北した。
でもその最中、
ティタネスに唯一対抗できる力――“エレメント”を宿した人間の出現だ。
一方、エレメントには致命的な欠陥が存在していた。
それは
その結果、大人はエレメントの軍事転用を
エレメントを攻撃に用いた武器――“シュラウド”が開発され、子供たちは新兵器を手に、戦場の最前線に送られる。
これが今の世界の現状――。
「――
そして俺こと、
ちょうど流星が
つまりエレメントを宿した世代でもある。
エレメントの発現から年月が浅いため、ティタネスに対抗できるのは、例外なく子供だけ。
昔なら野球選手やら、動画配信者やら、お嫁さんやら、誰もが色んな夢を持っていたらしいが、今の子供の進路は、シュラウドを使ってティタネスと戦う戦士――“
他の夢を持つことは、一切許されない。
だから俺やその下の世代は、小学生の頃から戦闘訓練を強要され、中学も高校も国から進学先を指定された。
この高校も今受けている授業も、全て上から強制された結果だ。
「……ったく、よく
人類の滅亡がかかっているのだから、戦わなければならない。
そんなことは分かってるし、俺にだって守りたいものはある。
でも大人たちにおだてられて、優秀な
――まあ、
俺は熱心に授業を受けるクラスメートから視線を
授業中によそ見しても怒られないのは、窓際の席の特権だ。せめてもの現実逃避ぐらいはさせてもらおう。
ただ視線の先、校庭に広がっているのは、体操着で汗を流す女子なんかではなく、シュラウドを手に模擬戦闘を行っている生徒たちの姿。
クラスメートや、己のエレメントをシュラウドに乗せてぶつけう彼女たちを見ていると、つくづく実感させられる。
やはり、どうあがいても逃れられないのだと。
――
◆ ◇ ◆
「……あっーす! あん? なにボーっとしてんだよ?」
すると、細身で長身、そこそこ顔の整った金髪の少年が小首を傾げながらこちらを見ていた。
「腹減ったぁー! さっさと学食行こうぜ! 学食!」
デリック・エギルバード。
俺の一つ前の席で授業を受けていたクラスメートにして悪友といったところか。
ちなみに俺たちの通う、
だからここが日本国内にある学園でも、デリックのような別国籍の生徒は何も珍しくない。むしろ教師を含めた半分近くが、日本人以外で構成されているぐらいだ。
逆に言えば、ティタネスに故郷を潰され、被害が比較的少ない日本に逃げ込んだ人間の多さを表しているのかもしれない。
全く、
「つーか、さっきの授業見たか?」
「授業を見たってなんだよ。文章の間を飛ばすな」
授業は受けるものであって、見るものじゃない。
デリックが言っているのは、他クラスが外で行っていた模擬戦闘――さっきの実技授業についてだろう。
つまりこいつも教師の話を聞かず、そっぽを向いてたわけか。
「ンなことより、やっぱ
「学園一の天才だ。当然だろ」
「くぅー! 美人で学園最強とか
「そうだな。お前とは真逆の存在だ」
「おやおや、デリック君を、あんまり
「ない」
「おう、ふぅ……」
顔は悪くないんだし、こういうのを抑えたら彼女ぐらいできそうなもんだが、デリックがリア充になるのは、まだ先のようだ。
どちらにせよ、
◆ ◇ ◆
「ってか、今日の食堂、
「ああ、流石にこれは……」
そうした雑談の
端的に言えば、食堂
「おい、どうしてくれんだよ! 俺らの昼休みぃ! 全然前に進まねぇじゃん!」
確かにいくら混んでるにしたって、人の波が
昼食を食べに来た行列というよりかは、まるで何かを取り囲むように人が集まっているように見える。
明らかな異常事態だが、そんな俺たちの疑問は、女子たちの甲高い声によって解決することになる。
いや正確には、女子たちの中心に立つ、長身の男子生徒の発言によって――と言うべきか。
「さっきの授業、しかと見させてもらったぜ。流石の
男子生徒の名は、アデル・シュルツァ。
まあ名前を覚えるのが面倒なら、下半身直結男でもいい。
今も大量の女子を引き連れているのに、別の女子生徒にちょっかいをかけている。
これだけでも、脳が下半身に繋がっている思春期野郎だと理解できるはずだ。
そして俺たちの
「――
「え、あ……っ? これは手厳しい。でもさ、いい加減、素直になってもいいんじゃねぇか?」
「致しません」
致しません
「けっ! 野郎、断られてやんの!」
「当然だろ」
「さっすがは、俺の竜ヶ崎さん! そこらの女とはオーラが違うんだよなぁ! オーラが!」
女子生徒の腰下まで伸びた漆黒の長髪はさらりと流れ、前髪に入った蒼のメッシュがよりクールさを引き立てている。
冷たい眼光を放つ紫の瞳も含め、どこか無機質さすら感じられるほどだ。
一方で女子にしては背が高く、全く着崩していない制服越しにでもスタイルの良さが際立っている。
着崩すどころか
まさに
とはいえ――。
「お前のでもないけどな」
「あいでぇっ!?」
俺の蹴りがデリックの尻に突き刺さる。
周囲のざわめきが途切れたのと、
「……」
ジロリと、辺りの視線が俺たちに突き刺さる。
学園の
そんな注目のやり取りの最中、偶然にも落ちこぼれ二人が流れを断ち切ってしまった。
場違いだ――という、無言の圧なのだろう。
でもこれもまた、タイミングが悪かった。
「――ッ!?」
やり取りの流れが途切れた瞬間、眼前を
甘い匂いに
「――私、この方と昼食を取るつもりでしたので、これで失礼致します」
そうだ。俺たちが作り出した
「な、テメェっ!?」
当然、この行動が周囲に与える影響は大きい。アデルに至っては、額に青筋すら浮かんでいる。
対するもう片方は、この状況を何も認識していない。
それどころか本人的には、上手いことアデルを
「そうですよね、
むんっと、どこか得意気な上目遣いで、俺の顔をのぞき込んで来るのが、その証拠だろう。
しかも妙に上機嫌だ。それと自分の
――さぁて、どうすっかな。この状況。
俺はティタネスと戦う前に、とんでもない
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