第13話 アルバムは羞恥心の塊
☆☆☆
「.....して.....殺して.....」
「いやぁ、よかったよかった。目の保養になったよ。」
「渉くんの子供時代、可愛かったね!」
俺は机に突っ伏しながら、2人は満面の笑みでそういった。
「へぇへぇ、どうせ今は可愛げのないガキですよ~だ。」
頬づえをつき、ため息混じりにそういう。母さんめ、なんで人のアルバムを勝手な他人に渡すかね。おかしいだろどう考えてもよ。
「可愛げはともかく、カッコよくて優しいお兄さんだと先輩は思うよ。私は君のこと好きだぞ。」
「あっずるい!僕も渉くんのこと好きだよ!真面目だし、頼りがいあるし、かっこいいし!もっと自信もって!」
「弄りがいのある、の間違いじゃないっすかね。毎度毎度よく思いつくこと。あぁもう、朝から頭痛いわ.....」
俺は席を立って、伸びをしながら朝日を浴びる。夕方もこの続きがあると思うと、まじで憂鬱になる。あとで母さんを問い詰めなくては。
先輩達は影でなんかヒソヒソ話してるし。とりあえず俺は机に置かれたアルバムを回収してバッグに突っ込んだ。
「あ、ちょっと!もう、まだコピー取ってないのに。」
「取らせるか!これは永久封印します!もう2度と、金輪際見せないですから!」
「え~!?困るよぉ!」
「困らねぇよ!うちの人間ならまだしも、他人のはずの先輩方が困ることはねぇよ普通は!」
「なら普通じゃなくて構わないから、貸せ」
「僕もそれでいいから、貸してよ」
「なんでなのこの人たち!?それが人にモノを頼む態度かよ!?」
先輩方の心境が全くもって読めない。人のアルバム見て、何が楽しいんだか。俺には検討もつかないよ。
「じゃあなに、どうすれば貸してくれるわけ?.....あぁ、そうかそういうことか。君も男の子だもんね、仕方ないね。」
「待て咲月先輩、何となく察したが絶対に違う。そういうつもりはまったくないです。」
制服に手を伸ばそうとする咲月先輩の手を掴んで止める。俺は変態ではないし、そんな要求するほど頭もイカれてない。
「.....それはそれで、ある意味傷つくのだけど」
「知りませんよそんなこと。実先輩からも何か.....実先輩?」
実先輩はカタカタと震えていた。俺は実先輩の両肩に手を置いて聞く。
「いったいどうしたんです?」
「わ、渉くん.....」
実先輩は涙目になりながら、言った。
「僕、男だけど.....だめかな.....」
「だーもう!!そういうつもりじゃないって言ってるでしょうが!!人の話を聞けぇ!!」
俺はまた頭を抱えるのだった。この先輩たちのもとにずっといたら、寿命が縮まる気がするよ.....。
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