第4話 どっちが良いタクシードライバー
2004年 突然雨が降り出した上海。タクシーの争奪戦に勝った私は家路に着いた。会社近くの高速道路インターから乗り、この調子だといつもの時間20分ぐらいで家の着きそうである。家内に連絡し状況を伝える。しかし、運転手はいつも降りるインターを通過し、家を越え次のインターで降り、下道を戻る道路を選択した。
「外国人だと思って、遠周りの料金稼ぎか?」家には30分程で着いた。中国語が、少し話せるようになって来たので、運転手に思っていることを伝え、「ずるをしていないか」と文句を言った。最初は笑っていた運転手も、最後には怒り出し、10元紙幣を私にぶつけ立ち去った。
エレベータ-を待っていると知り合いの日本人が帰って来た。会社も同じ方面なので、私と同じくタクシーを使って帰って来たようだ。「渋滞すごかったですね。近くのインターから30分以上動きませんでした。」私の経路と時間を伝えると、「その運転手、優秀です。」事の経過を話したら、「尾崎さん、海外では、先入観を持って判断してはダメです。」優秀なタクシー運転手を、日本人の常識では、詐欺師にしてしまった。
<私の仮説
外国人が一番大切にするのが、「時間」だと思う。24時間という平等に与えられた時間を効率よく使い、次へ動いて行く。少し位、お金が掛かろうとも、早い方を選ぶ。日本人が一番大切にするのが、「お金」。できるだけ安い方が良い。早いが高いは、選択に無いでしょう。だから、家の手前のインターで降りる方を選択し、渋滞に会ってしまうでしょう。外国人から見れば、日本人は、「安物買いの銭失い」に見えるでしょう。私は10年以上、海外で暮らして来たせいか、「損して得取れ」の考え方をしている。外国人に影響されたようです。>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます