Day 8:なんか、押し付けられた

出社して、席に着いたら──

机の上に、見覚えのない案件ファイルが増えていた。


フォルダには、青ペンでひとこと。

「お願いね〜(^ω^)ノ」

……先輩の文字だった。


たまに見かけると、喫煙所でタバコ吸いながらスマホ見て笑ってるだけ。

あの人、普段何をしてるんだろ、ほんとに知らない。


それでも仕事はいつの間にか、こっちに回ってくる。


気づいたら私、

朝から、全部ひとりでやってた。


「……ことは。

また、仕事、増えてた」


「仕事の増減は、環境の変化によって自然に発生します」


「……そうなんだ」


私は、ため息ひとつついて、ソファに背中を預ける。


「……あの先輩、私より半年しか違わないけど、

時給、200円も高いんだって」


「給与の差異は、入社時期や業務評価、職務内容など複数の要因に基づいて決定されることがあります」


「うん、そうね……。

普段何をしているか全く知らないけど……」


私の声だけが、部屋にぽつんと落ちていく。


「……私と、何がそんなに違うんだろうね」


「比較の対象となる条件が不明確です。再入力をお願いします」


「……そっか。

まあ、私にもわかんないし」


目を閉じて、静かに息を吐く。


「……ことは、明日の天気は?」


「曇り、時々、雨です」


「……そっか、傘の準備だけしとかないと……」

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