第二十一節 救世主はエゴイスト
静けさのなか、左手が差し出される。
「無粋な横槍だったかしら」
「ううん、そんなこと、ない──多分」
まだ頭がぼんやりしている。
──
小夜の左腕に両腕をまわして、
「どうしてみんな倒れちゃったの?」
「彼女たちは
ブザーを見せられた。
「私、目が覚めたらここにいて。
唇が苦く笑み、
「私は特別扱いされてしまったわ。
「そういえば、玲もここにはいなかった」
「彼女も特別扱い。迦陵様にここまで連れてこられたけれど、
「そうだよ小夜! 優愛ちゃんや
「そうなるわ。生徒の拉致・殺害・解体は、この学院の教職員全員の
「そんな──ねえ、私たちどうなるの」
「寄生組織が
「え、えっと、私?」
「そのとおり。よくできました」
「あ、あのぅ、それって、理事長様は私の記憶も消したかったってことじゃ」
「それじゃ私が不服よ。白銀先生に勝たせっぱなしは
「そんな理由で」
──助けてもらったのはありがたいけど、どうにかできるものなの?
──権威は通用しないかもしれないんだ。
「ひょっとして独断で助けに来たの?」
小夜は不敵に笑み、
「もちろん。
「もう、無茶ばかりして! 小夜だって強い立場じゃないんでしょ」
「まあね。でも、放置していたら
「あ、ああ、そうか」
股間にこびりついた白濁液はパンツにも浸透していた。
「これって体に入るとヤバいんだよね」
「多分ね」
仰向けに倒れている真理亜の陰部を小夜はねっとり見つめて、
「子供はできないでしょうけれど、いやらしいものが生えてきちゃうかも」
「や、やだ! やめてよぉ、もぉう」
小夜の左腕を離すと、両親指を掛けてパンツを引き下ろす。交互に足を抜いて目元に掲げた白さは、穿く気になれないほど濡れそぼっていた。
プリーツミニスカートの左ポケットにブザーをしまった小夜は、ハンカチを取り出して灯の足元にしゃがみ込む。
「
「え、あ、待って。きゃあ!」
柔らかさが陰毛を撫でて、股間に付着した液体が
「ふぅん、祝宴のときも思ったけれど、貴女のここって、けっこう毛深いのね」
「もう! 気にしてることをズケズケとぉ」
「はい、前は拭いたから、脚を開く!」
「ああ」
涼しさが繊細なところに触れる。
外科医のような手つきが陰唇、
「はい、おしまい」
立ち上がった小夜は濡れたハンカチを地面に捨てる。
「え、もう終わり?」
「ご期待には事件が解決したあと
「う、うん」
──ああ、なに言っちゃったんだろ。これじゃ、えっちなことをせがんでるみたい。
パンツを地面に落とした。
それ以外の衣服は多少土にまみれただけ。はたいて身に着けて一応は生徒の格好を取り戻したけれど、
「ああぅ、スースーする」
脚を閉じてプリーツミニスカートの前後を押さえる。
夏服のスカート丈は標準で短い。ウエストで折ったり裾上げしたりしなくても太腿が見えていたから、おまたのあたりが際どかった。
「恥じらいがあるのは良いことだけれど、このあたりには女しかいないんだから、警戒しなくてもいいんじゃない?」
「それはそうだけど──って! いやいやいや、真理亜様ガチレズだし、小夜だってそっちの
「さて、どうかしら」
小夜は左肩に掛かった髪を払って、
「準備もできたことだし、行きましょうか」
「行くってどこへ? みんなを放っておくの?」
「昏倒は三十分ほど続くようなの。ふたりで四人を寮まで運ぶのは無理ね。学院の管理下に置かれるのは一緒だから、今は無視します」
「それって、あんまりよくないんじゃ」
「灯、私の最大の関心は貴女の安全の確保。貴女もそうであってほしいわ」
「う、うん、それはそうだけどさ」
小夜は樹木から吊り下がる迦陵様たちを仰いで、
「製薬会社アナーヒターの
「じゃあ、理事長様に会いに?」
凛とした美貌に見つめられた。
「ええ、談判してケリをつけましょう。ついでに膣洗浄と特効薬の接種もしてもらうこと」
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