赤ずきんの祖母~復讐の連鎖~

山下ともこ

第一章:~美しくも邪悪なキャロル~

昔々、深い森の奥の村に、キャロルと言う女性が住んでいました。

キャロルは後に「赤ずきん」のお話に出て来る

おばあさんとして知られる女性です。


キャロルは美しい容姿をしていましたが、冷酷な心を隠し持っている女性でした。


キャロルは村人たちには優しい顔を見せていましたが、

一人で森に行く時は邪悪な顔を浮かばせました。



森で動物たちを見つけると、石を投げ、巣を壊し、火を放つ——

それが彼女にとっての日常となっていました。




キャロルが特に憎んでいたのは、オオカミでした。


キャロルはオオカミを見つけると、追い立てるだけでは飽き足らず、

罠を仕掛け、毒を塗った肉を置き、執拗にオオカミを狙いました。


彼女はオオカミを「森の害獣」と呼び、

オオカミを滅ぼすことを使命のように考えていました。




ある日、キャロルは森の奥深くで、

子を産んだばかりの母オオカミを見つけました。


彼女は笑いながら母オオカミを追い詰め、罠にかけました。


足にケガを負いながらも必死に罠から逃れようと暴れる母オオカミを、

キャロルは冷たい笑顔で見つめ、持っていた松明を押し付けました。


「ウォーーーーーーーーーーン!」


母オオカミの恐怖と苦痛の声は森中に響き渡り、

幼い子オオカミ達の心に深く刻まれました。




キャロルに虐げられていた母オオカミは、

傷つきながらも、子オオカミ達が独り立ちできるようになるまで懸命に育て、

力尽きました。



残された子オオカミ達は、母の苦しみと憎しみを胸に、静かに成長していきました。




続く~第二章へ~

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