第6話 明智小次郎の死、ミズマーブル

明智小次郎の死体が3時室に投げ込まれた。


「儀式魔法の準備完成・・・これより詠唱に入る。星辰の入りまで5分」


中央の礼拝堂にはすでに魔方陣が書かれていた。


「やはりサバトは教会だわさ・・・テケリリリリ・・・」


祭壇の上のステンドグラスの天使が光り輝き具現化する。


「あんたを呼んだ覚えはないよ・・・智天使ケルビム」


6対の羽をそろえた、かって明智小次郎であった御使いはおごそかに告げる。


「ガイウス・ヘレン・マーブルよ 悔い改めなさい。さすれば安らかな消滅を約束

しましょう」


「虫のいい話だね、結界が張られた今、魔法的存在のあんたはこの魔女の支配化に

あるも同然身体がないんだから物理的は何もできやしないんだ。だいたいあんたらは頭が固いんだよ。

1550年頃と同じ源氏名を使ってるから、

こっちとらハハンとピンとくるんだ・・・」


「第六天魔王を調伏した時と同じ名前でしたか・・・日本人にはあまり受肉しない

ので迂闊でした」


「そろそろお喋りにもあきたよ 星辰なんだ消えな!」


その刹那、2つの黒い疾風がアガサ・マーブルの両腕と両足に噛み付く。

人狼はかっての修道士ボディ、羽交い絞めにしているのはかっての

エンリコ・ブラウンであった・・・

大熊である。


「なんだい!大地母神ガイアとそちらさんは敵どうしじゃないのかい?!」


「敵の敵は味方だそうです。私どもはご存知のとうり「汝の敵を愛せ」ですから」

「私の後光はそちらさんの満月の月明かりと同じとか・・・そして・・・

魔方陣の2角が崩れました

不完全ながらこの2本の手だけ受肉できます。という事でこの弓をもち、

矢が番えます。

ひきしぼり祝福します。放ちます。当たります。魔法的、物理的にあなたの心臓を

貫きました。」


「証明終わりかい・・・天国で待ってるよ」 消滅するガイウス・・・


「お断りします。」


「ご苦労様でした。お二方」


「それでこの忌まわしい因果律をどこまで戻せるんだ?天使?」


「二日目の朝が限界でしょう。犠牲になった処女と童貞の方もそうですが 

列車事故の方々の被害を抑えたいところです。」


「では俺は人間のまま死ぬのか・・・仕方あるまい・・・

ワーム一匹道連れにしたんだ。ガイア様も許してくれよう。」 


「天使よ・・・いったいこのような「デウス・エクス・マキナ」・・・

何回やってるんだ?」


天使はそれには答えず ニッコリと微笑んだ。

「全て世は事もなし、天上に神はいらっしゃいます。」


白い霧があたりを包む。


パラパラパラパラ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る