第8話
「そうだ。私が作った。」
「あ。意外と最先端テクノロジー派なんですね。」
スマホの画面にQRコード画面を提示して、ほら読み込め、と
言わんばかりにスマホを突き出してくる。
その勢いに気おされて、渋々QRを読み込む。
「タダだから。安心しなさい。」
「まさかの良心的。」
言われるがままダウンロードすると、これまた予想に反して
ポップな見た目のアプリ。開いてみると、
丸く、ぷくぷくとした可愛いフォントで「Switchy」と表示される。
「占い師さん…可愛い系がお好きなんですね?」
「……startを押せ。」
私の問に答えず、淡々と指示を出す。
占いをするはずの怪しい空間で、なぜか2人で
私のスマホをのぞき込みながらアプリを操作するという、
異様な展開になっていた。
startを押すと、伏し目がちのデフォルメされた
可愛いカメレオンのキャラが登場し、どこかで聞いたことある
独特な音で発音しながら、このアプリを案内してくれる。
「……あつ〇、私もやってましたよ。
占い師さんの推しは誰ですか?」
「……ちゃちゃ〇だ。」
「そこは答えてくれるんだ…。」
カメレオンの指示に従っていくと、
【このアプリでは、入れ替わりたい人物と、魂を入れ替わることができるカメ】
突然すっとんきょうなことを言われて、
思わず目を見開いて、目の前の占い師を見る。
彼女は微動だにせず、私のスマホ画面を見つめる。
【まずは、入れ替わりたい人物の写真をとってみるカメ!
元に戻りたいときは、アプリの『元に戻る』ボタンをタップするカメ】
画面が勝手に、カメラモードに移った。
そこでようやく占い師は私の方を見る。
「試しに、私を撮ってみなさい。」
「いやいや。入れ替わるだなんて、そんな…」
「いいから。」
さあ。と、少し両手を広げて私を見る。
私はずっと、何をさせられているんだろうとため息をつきつつ、
呆れた顔でスマホを占い師に向ける。
「はあ…。じゃあ、撮りますよー?」
パシャリ。
私の意識がブラックアウトした。
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